第158話 イチローとベートーベンといろはの「へ」

下手ぞとて 我を許すな 稽古だに 積もらば塵も やまと言の葉


現代訳

何をしてもうまくいかないからといって、諦めてはいけません、稽古さえ根気よく続けていけば、「塵も積もれば山となる」という日本の言葉通り、必ず上達してゆくのです


こつこつ努力する偉人ということで調べてみたのですが、どういう訳かイチローさんがあっちこっちで検索にでてきましてびっくりしました。

言うまでもないですがイチローさんは日米で大活躍したプロ野球選手で天才的なバッティングと華麗な守備を誇るプロ中のプロです。


ただ、傍から見ると天才ですが、彼が口癖のように言うのは自分は天才ではなく毎日毎日努力しているということです。

いろんなインタビュアーが彼の天才的なバッティングセンスについて手をかえ品を変えて質問しても彼の答えはいつも自分は凡人で努力をしていると答えます。


確かに調べてみても、彼の実績については山のように資料が出てきますが、彼独自の特別な方法という記事はあまりないように思えます。

少なくとも彼自身は日頃の努力こそが自分のアイデンティティーであると固く信じているのではと思います。


もし、そうだとしたら野球の分野でもあきらめずにこつこつ努力すればイチローのようになれる可能性があるということですね。

同じ内容のことは将棋の羽生善治九段(2020年7月8日現在)も語っていて、投げ出さずに努力することの大切さを淡々と説いていました。


こつこつ努力する大切さは理解したとして、苦手なことでもあきらめないという点で適切な偉人はだれか、私はベートーベンを挙げたいと思います。

伝え聞くところによると彼は作曲をするとき自己流でバイオリンを扱い、先生から作曲家としての才能がないと言われたそうです。


今で例えるなら音楽の成績が10段階の2とか3とかで苦手な部類として扱われたことでしょう。


しかも彼は後に聴力を失っていきました。

音を扱う者としては最悪な環境で普通の人であれば「苦手です」なんて軽口も言えないほど苦手意識を持ったことでしょう。


ですが、彼はそのような中でも作曲活動をこつこつと続け、世界的に有名な作曲家として歴史に名を残しています。

私たちも、12月31日(大晦日)にはベートーベンの「第九」を聞いたことがあるのではないでしょうか。


当時の島津の教えでは野球や音楽は対象外だったと思いますが、剣術や弓術、学問などでこの教えは役に立ったでしょう。

島津義久は和歌を残しており、もしかしたら祭りごとや戦の合間をぬって努力したかもしれませんね。


今回は珍しく、スポーツや音楽といった分野の偉人紹介になりました。

平和な日本ですからこうした形でいろは歌の「へ」、地道に苦手な分野を克服するのもいいかも知れませんね。



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