第82話 ひだまりの国地方選挙
テレスと話を終えた後、ひだまりの国で地方選挙の季節が近づいてきました。
コウメイは当落線上にいる候補を応援するべくネットを活用し仲間と協力していました。
もちろんひだまりの国にも公職選挙法はありますが、いまはデンゲル人に忖度されていてひだまりの民には不利な状況にありました。
それでもひだまりの民の不満は根強くデンゲル人に味方する議員は苦戦を強いられていました。
しかもデンゲル人を非難することはとても厳しい選挙法もデンゲル人の味方をするネット情報は遮断できなかったため、コウメイ達ははいわば「ほめ殺し」の要領で議員の選別が出来るように有権者の意識を誘導していきました。
その結果、地方選挙で7割を獲得していた親デンゲル派は35%つまり約半分の議席を落とし、ひだまりの民の味方の議員数は65%まで回復しました。
しかし、ここからデンゲルの巻き返しがはじまります。
得意の金と女性の色香を使いひだまり派の議員の取り崩しを始めました。
選挙中あれほどひだまりの民のことを連呼していた議員が次々と寝返っていきました。
色香は女性だけではなく男性も用いられ、女性議員の中にもスキャンダルで失脚するものや寝返るものが現れました。
「これが敵の切り札か!」コウメイはうなりました。
と、同時にテレスの言葉を思い出しました。
「どう頑張ってもデンゲル人に騙される議員は出てきます、なので出来るだけ多くの味方を増やし、飽和攻撃で勝つしか方法はありません、細かいことを気にして裏切り者に時間を割くより新しい味方をどんどん増やす方が有効でしょう」
コウメイは仲間に指示を出しました。
内容はこうです。「裏切り者や転んだものは一通り周知させたらそれ以上はかまうな、むしろ疑心暗鬼にならないように味方の動揺を鎮めるようにするのだ」仲間たちはその指示に従いました。
その結果、選挙終了から議会が開くまでの間にほとんどの地方議会でひだまり派が過半数を確保することに成功しました。
これでデンゲル人は地方の条例で彼らの思うような法律を事実上作ることが出来なくなりました。彼らは敗北したのです。
コウメイはヒキコモリーヌとテレスにお礼のメールを送りました。ヒキコモリーヌは素直におめでとうと返事を送り、「今度はメディア対策の番ね」と意気込みを語りました。
テレスはそれに対して、いつものひだまりの民のためにやったわけではないという言葉を発した後、でもおめでとうと素直に挨拶を返した。
その後に、これからが大変だから気を引き締めていきなさいとアドバイスしました。
コウメイは感謝しつつその言葉を胸に刻んだのでした。
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