第80話 コウメイとヒキコモリーヌ
それは偶然の出会いでした。
コウメイがネットの海をただよっているとヒキコモリーヌとデンゲル人テレスとのやり取りを目にしました。
以前お話があったようにコウメイはデンゲル人に遺恨がありましたので、ヒキコモリーヌともどもはじめは忌諱の目(嫌っていること)で見ていました。
しかし内容をよく見てみるとどうも違うのではないかと違和感を少し覚えていました。
コウメイは思い切ってDM(ダイレクトメール)をして真偽を確かめることにしました。
「あなたは何か目的をもっているようですがそれは何ですか」ヒキコモリーヌの答えは明快でした。「メディア改革です」
彼は尋ねます。それならなぜデンゲル人とやり取りをしているのですか、彼らはメディアの中枢を占拠しいまも工作活動をしています。
それに第一次言論大戦のことをあなたもご存じでしょう。
彼女は面倒なアンチが来たと思い、対話をやめようとも思いましたが前にコウメイの真意を知っておきたいと思い、逆に質問をし返してみました。
「そういうあなたの目的は何ですか」コウメイはこう答えました。「悪行を行うデンゲル人をひだまりの国から駆逐することです」
ここで彼女は引っかかる言葉がありました。
それは「悪行をおこなう」です。彼女は聞き返しました。「悪行を行わないデンゲル人についてはどうですか」これはコウメイには虚をつかれた質問でした。
「全員がそうだとは言いませんがほとんどが悪人であり許すまじ存在でしょう」彼は自分の経験を彼女に伝えその正当性を理解させようとしていました。
コウメイからみて彼女はデンゲル人に騙された愚かな女性であるという認識でした。
彼の経験からすると彼女は利用されているように映りました。
彼は熱心に言葉を重ねていきましたが彼女はなびきません。
とうとう彼女の方はある提案をするようになりました。
「そこまで言うならデンゲル人テレスと直接話をすればいい、彼はひだまりの国の味方ではないが決して敵でもないでしょうからいろいろと聞いてみればいいでしょう」
コウメイとしては感情的になっている面もあり、この場は引き取ることにしました。
かなり熱くなってしまいましたが、メディア改革自体は彼も賛成でしたので、その点は応援すると意思表示をしました。
それでもデンゲル人嫌いのコウメイはテレスとの対話に乗り気ではありませんでした。ただし彼にもある言葉が引っ掛かりました。それは「悪行を行う」です
こうして、コウメイと彼から見れば不倶戴天の敵であるデンゲル人テレスが接触することになったのです。
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