第79話 コウメイのネット戦術

コウメイは一つのことに気づきました。

それは選挙の際に当落線上の議員を応援したり、あるいは落選させたい議員を工作した方が効率が良いということです。


ネットでは派手な発言をする議員を落としたいと考え、そこにエネルギーを使っていましたが、実はこれが効率が悪かったのです。


例えば、いくら評判が悪くても、組織票が固い議員を攻撃するのは効率的ではないということです。

ではどうすればよいのでしょうか。


コウメイは逆の発想思い付きました。それは当選間違いない対象にあえて、当落線上で危ないからその人物にエネルギーを集中するように敵を誘導するという戦法です。


しかもこの戦法のキモはあくまで敵に無駄な票を集めさせることでした。つまり、10000票で当選する議員に20000票入れても意味がないのです。


こうして、人気のある議員に票を入れさせ、当落線上にある議員を落としていく、この戦法を仲間にも教え地方選挙でためしてみました。

するとこのやり方は大当たりし、敵を何人か落とすことができました。


選挙が終わっても工作はつづきます。

もしあの票が効率よく入れば受かったのに落ちてしまったのは、当選した議員は利己的で落選した議員を貶めたせいだといったコメントを効果的に張っていきました。


もともと志ではなく金と権力でつながれた同士であった彼らは見事に仲間割れを起こし選挙後も険悪な関係のまま次の選挙に臨むことになりそうです。


それと同時に味方側についてもコメントを書きました。

こちらは次の選挙にはお互い仲良くエールを送れるようにとか、互いの健闘を祈るといった前向きなメッセージを残しておきました。


ここで勝ったからと言ってあとで仲間割れなどされては困ります。

中には選挙で受かった後宗旨替えした者も多少はいましたがこれはある程度仕方ないと思っていました。


そうした選挙区ではその人物がどのように宗旨替えをしたかを詳しく知らせ、次にはよく考えて投票するようにアドバイスしました。

そして、それを過度にせめるものついては穏便に済ますようにさとし、後味が悪くならないようにアフターケアーをするのでした。


こうした努力の結果、地方議会で動きが徐々にありました。

ネット世論におされ議員となった人々がデンゲル人を優遇する条例の凍結や撤回をするようになり、徐々に彼らの勢力が後退を始めたのです。


こうして軍師コウメイの戦術が地方に浸透しつつあったころ、彼とヒキコモリーヌはネットで接触をすることになります。


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