第75話 デンゲル人テレス

ヒキコモリーヌはネットサーフィンを日常としていました。

ある時面白い意見を見つけました。


それはこのままではデンゲル人はひだまりの国に恨まれつぶされてしまう、そうなる前に今までの経緯を正直に検証しひだまりの国の人々と仲良くする必要があるというものでした。


その意見を発信しているのはデンゲル人で名前をテレスと言いました。

彼の話では今デンゲル人は不景気で特に若者の職がなく、巷に労働者があふれその不満をひだまりの国のせいにしているとのことでした。


ヒキコモリーヌ、彼女は彼に関心をもち、どうしてそのように考えることができたのかを聞きました。

彼は一言、デンゲルの未来のためだ、と力強く話しました。


彼は歴史が好きで特にデンゲル以外の世界史が好きだと語ります。

そして世界史を学べば学ぶほど自分たちのデンゲルの歴史がつぎはぎだらけの嘘だということを理解したそうです。


彼の視点で見ると、デンゲル人よりもデンゲル人をたきつけているひだまりの国の人たちの方がより悪質だと語りました。


彼女はそれは責任転嫁ではと、反論しましたが彼は意見を変えずこう言いました。デンゲル人が風向きの良い方になびく傾向が強いのでひだまりの国の扇動者がおとなしくなればデンゲル人も少しはおとなしくなるということでした。


彼女の視点からするとデンゲル側に問題があるように映りましたが、彼の見方でいくとまずひだまりの国の扇動者、つまりデンゲルとひだまりをゆがんだ形で仲良くさせたり、あるいは対立を煽る連中こそが真の敵ということらしかったのです。


こうした存在をヒキコモリーヌはよく知っていました。それはまさにひだまりの国のメディアと国会、地方問わず多くの議員のことでした。


彼女はテレスを信頼することにしました。

さてテレスとは何者なのでしょうか。彼の父は穏健派の国会議員でしたがおとなしいためひだまり強硬派に歯もたたない状態でした。


そしてその息子はその世界的見識を買われていましたがそれ以上に愛国心が過少に見えるらしくよく目を付けられていました。


彼自身はひだまりの国のシンパというわけではなく、あくまでデンゲル人の未来をよりよくすることに主眼が置かれていたのですが、彼女はそれゆえに信頼できると思ったのでした。


彼は仲間にどう見られているかを気にしつつ、言葉を選びながら仲間を増やしていきました。


彼の言葉に一部のひだまりの人々と同じく一部のデンゲル人の支持を得ていましたがほとんどの人々はデンゲル人ということで差別し、警戒していました。


ヒキコモリーヌは残念に思いながらも今のひだまりの国とデンゲル人との関係を思えば仕方ないことで時間が必要だと思うのでした。

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