第74話 投票に行って流れを変えよう
こめこめ連合国は変わりました。
一人の大統領の登場によってオールドメディアの明らかな衰退とインターネットによる世論の台頭が顕著になったのです。
この大統領はいまだにメディアで叩かれているもののいまだ、一定の人気を保っていました。
メディアに意義を唱える手段が今までなかったのです。
これは以前触れたフランス革命前の僧職者階級とよく似ていました。
彼らもまた自分たちが神の代理人で非難されるに値しない存在であるとうそぶいていたのです。
かつてこのような絵が描かれていました。
それは貴族と僧侶を背中にかかえて、苦悶の表情を浮かべる民衆を描いた絵画です。ひだまりの国では新聞やテレビに関しては特別に税金が免除されていました。
それはメディアを敵にしたくない政治家や官僚との忖度によるものでした。こうしてみるとまるで政治家や官僚が貴族でメディアが僧侶であるあの絵そのまんまではないか、軍師コウメイは感じ入りました。
こめこめ連合国が投票で変わったようにひだまりの国も投票で変えよう、これがコウメイの思いつく最善の手段でした。
かつてのフランス革命は武力でしたが、今はこめこめ流の選挙がよいと考えました。
ではどんな人を押すべきか、まずテレビにあまり出ない人がいい。
特にテレビで嫌われている人に投票すれば正解の可能性がたかいと宣伝しました。
他にもあります。やたら横文字を使わない人、特に聞きなれない横文字を多く使う人は怪しい、なぜならひまわりの国の言葉を軽んじている可能性が高いからです。
逆に入れてはいけない人ですが、テレビで明らかに優遇されている人は危険だと伝えました。
その中には女優やコメンテーターといったテレビでなじみの人たちがいましたが彼らの多くは人の批判や欠点を重箱の隅をつつくように見つけるのは得意ですが、自分からは何もせず、したとしても余計なことしかしないからです。
不思議なことにこうした人々は当選後はほとんど報道をしません。
そして選挙が近づくと名前だけを連呼するのです。
大事なのは右か左かではありません。
昔右側と言われた人で後に宗旨替えした人もいれば、最近のネット世論を受けて考え方を改めた人もいます。大事なのはその人が受かったら何をするか、あるいはこの人の代わりに別の人が受かったら、その地域にどのような影響があるかを考えて投票することです。
とにかくコウメイはネットの世論がテレビなどのメディアよりも強いことを選挙で示すのがひだまりの国を良くする最善手であると考えていました。
そしてそれはひだまりの国に少しづづ、しかし確実に浸透していったのです。
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