第12話 クジラの神
鳴戸の門戸の神、
今は、これ以上先には進めないが、夏は、北の海に向かう
そこは、
「くぉ~ん、くぉ~ん」
「くぉ~ん」
「くぉ~ん」
海は
むかし、
ところが、大島の東の海には、
一頭の真っ白な
大神から返事をもらえない鳴門の久治良は、焦りを感じていた。
「なんとしても、
そういう時は、熊野の沖に出て、極北の祭りのことに思いを馳せるのであった。
久治良は、仕方なく
次第に人々が住める島が増えてくると、阿波の里だけでなく、
播磨の海は、行き交う船で賑わった。
スイジニ、ウイジニのふたり神が結ばれて五年がたったが、それでも瀬戸の大神の返事はなかった。だが、
ある時、
「
「おお、風の便りに聞いておるぞ。さすがに、海に出ると水を得た
「瀬戸の海は、恐ろしく速き狭別の早瀬が多く、われら海人でも容易に行き来することは出来ません。それでも、
「
「しかるに、瀬戸には、五年の長きに渡って解決できない問題が残っております。」
「ほう、
「瀬戸の大神の事に御座います。
「
確かに、
「ありがたきお言葉に御座います。あの浅間千年祭の年、
「七十を越えたにしては、元気じゃのう。
「われは、海人にございます。浅間の里にいた頃は、
「やはり、
「
「そうかそうか、アツミ衆はますます盛んじゃのう。こちらでは
「ありがたきお言葉に御座います。」
「
「そのことは、われも瀬戸の海に入っても、なお気に掛かっておりました。」
「だがな、遂に、
「ヒカネの
「だが、これまでに三十年を越す歳月がかかったぞ。この地に
「ありがたきお言葉にございます。わがアツミの一族が天之常立神と共に、このような大業を成すことが出来ましたことは、大いなる喜びで御座います。われも
「時が来れば、道も見えてこよう。」
「確かにそのようで御座います。瀬戸の大神のことは、お恥ずかしい限り。時を焦らずに、これまでと同じように、
「それがよかろう。
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