第8話 真心とまごころ
潮風が吹き抜ける墓標の丘は、霊気に包まれたまま、以前と変わることがなかった。風雨に耐えた石積みと木の柱は、辛うじて当時の姿を残していた。
失われた歳月に、
「
「わが弟、
続いて、
「われ
海から吹き上げる潮風がさらに強くなった。まるで、シロタエ神を待ち望んでいたかのように舞った。
「シロタエ神、わが身を
「
すると、なにやら
「ありがたきかな。われ、
姿なき声に、皆々、それぞれに周りを
「この地は、
風が強く吹き付ける度に、潮風は、声の主を包み込み、そのまま丘を駆け抜けていく。
「この地は、美しき
まさに聞いたことのある
「われ、
「お尋ねのこと、いかにも、もっともなれど、われの姿、現すこと
クジラと聞いて、皆々、身体を震わして、互いに身を細めあった。
「この地の
ますます、怪しき言の葉。
「ならば、われ、
「
「もちろんです。
「それは、わが身の胸ヒレであります。」
驚いた櫛彦は、咄嗟に右手を胸にあて、ヒレに触れた。
「三年前、あなた方がこの地にお見えになった時のことです。
風が止むと、
「ところが、とうとう
「お蔭で
「
「やはり、この
「それ以来、われは
「ああ、何としたことでありましょうぞ。
「
クジラの神がそう申し上げると、
「ありがたきかな。われ
いきなり現れたのは、
「海にいるときは、クジラにてありますが、陸にあがるとこうして二つの足を頂いております。久しぶりにわが足で大地を踏みつけることが出来ました。ありがたいことであります。
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