第3話 淡路島の風景
どこを探しても人の住む気配はない。東南の海岸は
元気いっぱいの若衆にとって、山すそに沿った山頂までの山歩きは、楽しみであった。とりわけ山頂からの景色は素晴らしかった。遠く見やると、自分たちがやって来た
その海を挟んで、遠く東には
ある日、
「
と持ち掛けた。
「それは面白い、皆で山登りを競ってみようじゃないか。」
とすぐさま
側にいた年上の
「
といって
「今日は、あの尾根の小高い峰からお日さまは昇った。やがて
「お日さまは、毎日、違う場所から昇りなさるのか。」
「夏のお日さまと冬のお日さまの昇る位置は、この位違うぞ」
「お前たち、よく聞いておけ。
小さな弟たちは、目を丸くして、櫛彦の話に聞き入った。
「今日は、空も晴れて雲もない。心を
年下の
「
「お日さまの明るさが
「曽良には見えるのか、大人になると皆、見えるようになるのか。」
「誰でも見えるわけではない。生まれ持った目の力と訓練が必要じゃ。」
「ならば、われら日高見族の中で、
話を聞いていた
「
「いやいや、夜と昼に関わらず、空の向こう側を取り仕切るのは
「われらは、アツミ一族ではないか。なぜに、
「われらアツミ族は、もともと先祖伝来の航海族であり、
「空の向こうに、もうひとつ空があるのか。「あまつみそら」というのか」
「われらは、「あまつみそら」の定めに従って航海が出来ている。
すると、今度は
「われも、
「教えやろうとも。われのすることを毎日、じっくりと見ておけ。すると、そのうち見えるようになる。」
「まずは、夜のうちに
「それよりも、間もなく
「われは、
「おう、そうか。
「
曽良は、
「空に輝いて、動くことのない星だ。お日さまとても毎日その昇る位置、空を駆ける道は変わるが、
「お日さまの力は明るくて大きい。夏至が近づくと、日に日に近づいて
「お日様が、キワボチに近づいてくるのか。」
「夏至は、年に一度、お日さまが
弟たちは、皆、うなずきながらも、
「
「へえ~、キワボチはそんなに凄いのか。お日様よりも凄いのか。」
二人の弟は、口を揃えて驚いた。
「お日さまが昇ると
「われは、
「人は心を空にすると、命を亡くすものだ。
なにせ、
祖母神は
「
「
笑うこととのない
「われは、あめ族ではない。空を見るよりも
二人の話を聞いていた
「なんだ、お前たちは、もう大人の
年長の
五人の少年たちは、真っ青な青空を眺めて、深呼吸をすると、お日さまに向かって進んだ。山頂に登った五人の少年は、
眼下に小さな小島が浮かび、潮の流れの向こうには、遥かに広がる
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