第2話 瀬戸の海へ
「この年の初秋、諏訪のトメ神に第二子、
岩窟の中は、薄暗い
「おおっ、ヒカネの君が淡路の島に現れなさった。」
光に照らされた
「恐れ多くも、あめつちの神々に申す。
「いまや、
「ふる里の皆々は、
すると、その時、
「
風が舞って、
「ヒカネ神は
風が舞った。駆け抜けた風が、再び、谷を駆け昇ってくると、山々の峰を越えて天空にふきあげた。
「トメ神の第二子、
「ありがたきかな。この
それから十年が過ぎた。まさに時、来たりて
「ヒカネ神とトメ神の願いはここに成就する。トメ神と
その声は、紛うことなきヒカネが天空を翔けたトカシラノオロチそのものであった。声が響くごとに、大地が震え、金色の気が昇った。
「
その声にアツミ一族は、大地に額づいて涙した。再び、黄金の気が立ち昇り、しばし、
「
トカシラノオロチは、そう言い終えると姿も声も消えてしまった。
翌日、
「わが子、
「われにも、ひとこと言わせて頂きましょう。」
「われ、ヒカネの君が浅間の山々に導かれし時より、常に
「
みなみなは、「希望の国」という言葉の響きに心をうばわれた。
「われら、アツミ一族は、東の日高見の海を航海する海人でありますが、西の海のことは、ほとんど知られてはおりません。かつて北の海を治めていたタマツミ族によりますと、高志の海の西のはずれに、
綿津見の観察力と分析力は随一であり、その言葉には説得力があった。その綿津見が恐ろしいことを言った。
「また、われらのアツミ衆が
皆は、耳を立てて、
「そんなに、怖がらなきてもよい。その
上陸したばかりの皆々に、少しで、言い過ぎたと思ったのか、
「いやいや、
と
「心配することはないぞな。海とはそのようなものだと言っているのです。むしろこの地の島々は楽園の如くに気候も良く、ウカの育ちも良く、海幸、山幸に恵まれているのです。
「皆の者、今の
比古次は、
「しかしながら、
耳を澄まし聞き入っていた岩窟の百人の衆は、
「おうっ」と誰かが応えようとすると、百人の声が続き、岩窟の中に響きこだました。外は、黒雲が立ち込め、
しばらくの間、この岩窟は、
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