第六章 青嵐

〈登場人物紹介〉

 六章以降の参考にご利用ください。


【主な登場人物】


二木ふたき 倫太郎

本編主人公。昨年春、深川門前町一丁目、通称花六軒長屋に里哉と引っ越してきた若い、人柄の良さそうな浪人者。


●篠井 里哉さとや

倫太郎の侍者。鼈甲縁眼鏡をかけた勉強大好き少年。二子の弟、音哉がいる。現在十七才。


真慧しんね(安藤 申之介)

花六軒長屋の住人。法体。倫太郎とはかつて主従であったが、当人らは「友」だという。長屋の賄い大明神。倫太郎よりも数年年長。


●佐々 凛

花六軒長屋の住人。倫太郎とは旧知の間柄。女医者。実家は富裕な町医者。四人の兄がおり、上から良順、玄順、敬順、燿太郎。


●原 賢吾

花六軒長屋の住人。浪人者。出自は黙して語らないが、何やら因縁がありそうだ。現在は、篠井児次郎の依頼で、倫太郎の身辺警護をしている。


●小川 陽道ようどう

花六軒長屋の住人。事実上の差配(世話役)。生業なりわいは八卦見。


●大源寺 良徳

花六軒長屋の大家である大源寺の住持。篠井家と深く関わりがありそうだ。


●おふく

花六軒長屋の住人。日本橋通旅籠町の旅籠、福籠屋のひとり娘。


●お登勢

おふくの母で福籠屋の女将。篠井児次郎を頭領とする、元紀州藩の隠密の一人。


●才助

花六軒長屋の住人、兼木戸番。やはり篠井の配下の一人。


●森島 四郎

小石川養生所の医師。お凛一筋の奇特な男。日をおかず、長屋に顔を出している。


●おたね

福籠屋の向かいにある足袋屋伊勢屋の娘。おふくに連れられ、花六軒長屋に出入りするようになるが──。



●篠井 児次郎

里哉、音哉兄弟の父親。元は紀州藩薬込役くすりごめやくの一族。吉宗の本家相続とともに出府し、公儀御庭番とは別途、加納久通直属の隠密として動く。部屋住であった若き日の吉宗と親交がある。


●二木 悠女ゆめ

倫太郎の母。熊野水軍を発祥とする一族をまとめ、紀州徳川家の薬込役くすりごめやくを務める。篠井児次郎は、腹違いの弟にあたる。


●篠井 音哉

里哉の二子の弟。一族他家の養子となったが、三年前に出奔、行方不明となっていた。しかし──。


●閻魔の狐

義賊ともて囃される盗賊。お上が罰してくれない悪党も、妻戀稲荷へ願掛けすれば叶えてくれると云う。この〈狐〉が将軍様のご落胤らしいと、もっぱらの噂。


●備前屋徳右衛門

三河町に店を構える口入屋くちいれや(武家奉公斡旋業)。この十年で頭角を現し、「菩薩様のようだ」と、その善行で広く名を知られている。



●紀伊國屋文左衛門

紀文として著名な豪商。政商として権勢を極めたが、すでに隠居し、深川で気ままな隠居暮らしをしている。倫太郎とひょんなことで知り合う。



●大岡 忠相ただすけ

江戸南町奉行。将軍吉宗の享保の改革を支える能吏。吉宗の側近、加納久通より命じられ、倫太郎の身辺を探ったことも。


●堤 清吾

南町奉行所定町廻り同心。八丁堀の旦那らしい鯔背いなせな男。上司、大岡忠相の命もあり、倫太郎の身辺を探る。


●よろず屋吉次(伊織)

堤のつかう美男の密偵。


●留蔵

堤のつかう御用聞き。ひとまわり下の恋女房はお鯉。深川にお鯉と「こひぢ」という名の小料理屋を構えている。



●徳川 吉宗

徳川宗家第八代当主、征夷大将軍。第二代紀州徳川家藩主の四男として生まれ、二人の兄の早世により五代藩主へ。さらに第七代将軍家の夭折により宗家を相続した。


●松平 左門(松平 頼雄よりかつ

紀伊徳川家の支藩、伊予西条藩の世嗣であったが廃嫡。蟄居ちっきょしていた江戸藩邸から、吉宗の招きにより紀伊田辺へ移り住む。幼い倫太郎を預かる。故人。


●徳川 宗直むねなお(松平 頼政)

左門の異母弟。兄の廃嫡後、二代伊予西条藩主となり、さらに五代紀伊徳川家藩主吉宗の徳川宗家相続により、六代紀伊徳川家藩主となる。


●徳川 継友

尾張徳川家第六代藩主。第三代藩主の十一男であったが相次ぐ兄、甥の急死により藩主となる。かつて、吉宗とともに第七代将軍の座を争った。


●松平 通温みちまさ

尾張徳川家第三代藩主の十九男。兄継友が八代将軍の座を巡って吉宗に敗れると、「頗る狂躁の行いあり」と、国許で蟄居同然となる。


●加納 久通

吉宗の御側御用取次。相役の有馬氏倫うじみちとともに、幼少期より吉宗に仕えている。倫太郎の存在を知る、数少ない人物。


●安財 数馬

尾張徳川家藩士。代々鉄砲方を勤めてきた。脱藩し、暴挙に及ぶ。


鏑木かぶらぎ 半兵衛

幼少期、倫太郎を江戸より紀伊田辺藩領まで送って行った元紀州藩士。妻は亡く、現在は江戸の市井で娘(とよ)、息子(景之進)とともに暮らしている。


●源助

鏑木半兵衛の小者。大兵の力持ち。主人である半兵衛に変わらず忠義を尽くす。




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