第46話 26日目続き

 このまま自閉モードへ突入かと思われたが、身体が宙を舞っているのに気が付くのにやや間があった。

 短い間だったが寝食を共にした隣人たちも派手に宙をダイブしている。

 なんだ?

 どうした?

 強烈な衝撃は覚えている。

 ダリルに何かあったのか?

 その肝心のダリルが見当たらない。

 どんなに頑張ったって思い出せそうにない。

 ただ、彼女に何かあったのはわかる。

 心配をしたが、自分のはさほど気にしていないかもしれない。

 これまでどうにかなってきたからだ。

 そもそもこれまでが恵まれ過ぎてきた。

 路傍の石だったはずなのだ、通常ならば。

 そこだけはこれまであたふたしてたのに、妙に肝が据わっている。

 なんなんだろう?

 このボディ由来のものなのだろうか?

 混迷のままに、大きく跳ねた、こんこん、ころころ。

 どこだどこだ、あの洞窟から大きく離されていないはずだが。

 とにかくどこまでも続く荒野へ一人きり。

 振り出しに戻った感覚だ。

 風が吹いてころころ転がった。

 なんとも心許ない。

 手も足も出ない。

 お手上げだ。

 こういうときは建設的な考えをしていよう。

 未来に身を置くことで、少しでも気を紛らわすのだ。

 しかし、拾ってくれなさそうだ。

 なんの変哲もない小石だもん。

 いやいやいや、もっとラディカルに、ポジティブにだ。

 ――だがそれから考えに考えたが時間だけが過ぎていった。

 

 26日目終わりだよ、もう。

 

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