第25話 16日目続き×5

 悲しみと愛しさと切なさが匂っている。

 メルスが一生懸命さすってくれているイメージがあった。

 もう肉の身体の感覚はない。

 大きな、大きな、光の球。

 太陽のようにエネルギーを放ち続けている。

 なんだろう。

 回帰している。

 巡り巡っている。

 循環?円環?

 引寄せられて、引きつけられて。

 それでも、決して離さない、繋がれた片手。

 なぜか。

 力強く頑に握られた手と手を意識していた。

 強制ではない。

 力づくでもない。

 そっと、添えられている感覚があった。

 寄り添っている?

 ふさわしき布置、見出された星座。

 あるべき、然り。

 ことばとじぶんが不可分となり。

 小刻みな振動とともに、揺れがゆっくり収まると、いつも通りの小石に戻っていた。

 ぎゅううぅ。

 ソム。

 ソムはソムとなった。

「んぁ……あ!……大丈夫だ、安定してきた」

 呼吸を整えるイメージを強めた。

 邪気が出ていく、立ち昇る。

 ぷしゅゅゅうう。

 抜けに抜けてく、脱力する。

 空間と認識が同定した・先ほどの家屋だ。

 帰ってきたのか、新生したのか。

 意識は変わらない。

 小石ボディも変わらない。

 変わらないのが、石となった自分を示しているのかもしれない。

 何かに触れた。物質的なものではない。それを今は表現できないのが、ひどくもどかしい。

 これから先も出会いそうだ。

「へくしゅん!」

 ちょっとさむいね。

 生きてるんだなあ。

 アーデさんはいつの間にやら椅子に持たれてグッタリしている。

 陰に潜めた見えない動きだったのだ。

 彼女は彼女で戦った。

 今は労いよりも、休息を。

 なんという夜だったのだろう。

 忘れたくとも忘れられない。

 衝撃が覚めやらぬうちに、16日目終わり。

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