第161話

 今宵の女御様は一段とお美しくて、そして艶を放っていられる。

 御帳台みちょうだいで見つめられた今上帝様は、そのしなやかなご様子に釘付けとなられた。


「如何なされました?」


 今上帝様は余りののお放ちに、視線を逸らす事も適わずにお聞きになられる。


「たまにはよいだろう?私とてそなたに、手解きを致した身である」


 白く細いおよびを、今上帝様の頬に這わされながら言われる。


「さ、さようではございますが……」


 今上帝様は、その色香にゾクゾクとされる。

 手解きの巫女の時もそうであられたが、神楽の君様はになられたら、かなりヤバいものをお持ちだ。

 何せ愛に生きるらん族であられるから、を知らず識らずに身につけられておいでなのだろう。

 それをご存知ないお方なので、実によかったと思う。ご存知であられて、をさられては、身が持たないと思い当たられる辺りが、もはや男女の手慣れ感が現れ始めておいでだ。


 女御にょうご神楽の君様は、それは甘く今上帝様をいざなわれて、組み敷かれていかれる。

 今上帝様は、視線を逸らす事すらおできになられずに、その甘美なお姿に釘付けのまま、御身を御帳台の上にお沈めになられた。


じゅ様……」


 今上帝様は、さすがに女体を晒される神楽の君様に、〝お兄君様〟と呼ばれるを憚れる様で、御名をお呼びになられておいでだ。


「なんだ?」


 女御神楽の君様は今上帝様の首筋に、唇をお這わせになられながら言われる。

 その向けられるお顔が艶めかしい。今上帝様は堪らずの体で逆に組み敷かれた。


「私を、お煽りになられてはなりませぬ」


「如何してだ?」


 今上帝様を間近とされて、ほくそ笑みを持ってお聞きになられた。

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