第154話

 美しい白肌が大きく揺れる、光沢のある黒髪が乱れる。

 神楽の君様は膨よかでたわわな乳房を、今上帝様のお胸に押し付けて、それは甘い声を上げられる。 今上帝様はそれは激しく、神楽の君様を揺さぶられながら、その美しい顔容かんばせが苦しげに歪むをお覗きになられる。光り輝く程にお美しい神楽の君様は、その様に快楽の際で顔容を歪められてもお美しい。激しく激しくお動きになられながも、今上帝様は見惚れられて、お愛おしいお方の中にお果てになられた。

 お二人の荒い呼吸が、夜御殿よるのおとどに響き渡る……。

 今上帝様は未だに、放心状態の神楽の君様をお覗きになられ、お額の汗をおよびで拭き取られた。


「お兄君……じゅ様」


 暫し見惚れられて、お言葉がお続きになられない。


「如何であった?」


「何がでございます?」


「この間は、下手くそであったからな」


「?????」


 今上帝様は、言葉の意味を考えられる。


「こたびは女官ゆえ、女となってまいった」


「はい。立派な女にございます」


「そうか?良いか?」


「はい。化粧も愛らしゅうございます」


「はっ?化粧は落とすとして、リキを入れて女となったゆえ、如何と聞いておるのだ」


「ゆえに完璧かと?」


「さようか?それは何より。やはりそなたにはしてやりたい」


 真顔で神楽の君様はお言いになられ、今上帝様は意を解して赤面される。


「草子のみならず、こたびは大人のいろいろもかなり見た」


 至極真剣なご表情の神楽の君様に、今上帝様はますます赤くなられる。


「……ゆえにそなたには……」


 すると今上帝様が真っ赤におなりで、神楽の君様のお口にお手を置かれた。


「よろしゅうございました」


 はにかみをお浮かべで、耳まで赤くなられて俯かれた。


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