第144話
「……長く内裏におると、そちらの事は聡くなる。さしもの上皇様とて、幾人かの后妃様はおいでであられたからな……お若気の至りと申せ、今上帝様は皇后様のみとお誓いくだされましたが、それは皇后様が御子様をなしての事でございます。この様に妻としてのお務めが、おできになられぬ以上……やっとやっと……長きに渡ってのお思いが叶ったと申すに……なんとお哀れなる皇后様であろう……」
女官はさめざめと、涙を流して言った。
「皇后様はさほどに、今上帝様をお思いでございますか?」
「お思いなどと言うものではない。それはそれは……。ご誕生から主上様の妻なのです。仮令大人達の思惑でなった事と言えども……。なんと大人達は
「嘘ではありませぬ、今上帝は嘘は申しますまい?」
女官神楽の君様は、お声を荒げて言われた。
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