第92話
「なんだ?流行り病か?そんなもん、神泉の周りに生える薬草が効くんじゃないか?」
一緒に飲んでいた白が、琴晴が持参した鴨肉を頬張りながら言った。
「おっ!」
「確かに……妙案であるな?如何いたす琴晴?」
「如何いたす……と申されましても……」
見惚れていた琴晴は、酒の勢いもあって赤面したまま困惑する。
「あそこの薬草は神気が高いからなぁ……まっ、余程のものでなくば効き目はあろう?第一、我ら神使とて役立っておる物だぞ?高々の人間に効かぬはずは無い……そうであろう
白はそれは馴れ馴れしく、神楽の君様に横柄な態度を取る。
神使と
いろいろと不思議なものとは縁がある琴晴ではあるが、さすがに白は珍しいものの一つだ。そういえば、どう見たって人間にしか見えない、神楽の君様の従者の銀孤も先は眷属神らしいし、この間まで今上帝様の
「そうだな……琴晴、明日にでも参ってみるとするか?」
「……何処へでございます?」
「はっ……神泉だ神泉……」
「神泉?」
聞いた事も無い、と言わんばかりの表情を向ける。
「神山の奥に
「さようにございますか?……ならば、よしなにお願い致します」
琴晴が神妙に頭を下げるので、神楽の君様は和かに微笑まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます