第76話
さて、神楽の君様の躰を張ったご行為のお陰で、今上帝様はそれは難なくいとも容易く、周囲の者達の懸念など吹き飛ばす様に、まだまだ幼さのお残りになられる、皇后様との初夜の儀をご立派にお勤めになられた。
それまで今上帝様は、女体に全くご興味を持たれない
そんな晴れ晴れとした良き日、神楽の君様は後院の母君様に召されて、
「何をその様に、顔を見るなり致しておりますか?」
反して神楽の君様は、高麗縁にドカリと座されて、トレードマークのような朱色の狩衣を着ておいでだ。
色も着方なども一切お気になさらない、お二方でいらっしゃる。
「お母君様は、ご存知であられたのでございますね?」
「はて?何をでしょう?」
今日は上皇様は、今上帝様のお顔をご覧になりに行かれておいでだ。
やはり御子様であられるから、今回の一連の事態には、それはお心を砕かれておいでであられた。ゆえに母子水入らずとなられ、それゆえにお妃様のご機嫌が良いのかもしれない。
「白々しい……」
神楽の君様は吐き捨てる様に言われる。
「あの
「まあ?あれをご存知なのですか?」
「真に白々しい……あれで、私をお揶揄いなのでございましょう?あの様に効き目ある媚術など、存在致さぬのでございましょう?」
「何を
お妃様は、さも嘆かわしいという表情をお作りになられた。
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