第25話

「大陸の天帝様は、我が中津國の国生みに際して、大神様の余りにもの無欲なる対応に感服なされて、瑞獣達を下賜なされました。その尊き瑞獣のひとつが、我が一族なのです。よいかじゅよ。その尊き瑞獣の中でも、高貴なものだけが大神様にお仕えできるのです。それが我らなのですよ、ゆえに私と上皇様との御子であるそなたは神なのです、もはや神と認められているのです。そのそなたと私がおりながら、この平安を維持できぬ、では済まされますまい?それも、ではあってはならぬのです」


 神楽の君様は、お母君様のお妃様を凝視される。

 ただただ……。


「なぜそなたが真因か……とお思いであられよう?しかしながら、それが真実なのです。今上帝はそなたに恋い焦がれておられる……。そなたのみしかお目に留められぬ……それはそなたの所為ではないが、事実である事に変わりはないのです……ならば、そなたは如何いたすべきか、今上帝の……蒼輝の思いを受け入れるしか術はないのです。そして、私の様にお心のみを頂き、治世の為に御子を授けて頂くのです」


「…………」


 神楽の君様は、ジッとお妃様を凝視された視線を、緩やかに他に移された。


「母君様は、ご存知でおいでだったのですね……」


「……………」


「蒼輝がこのようになります事……」


「あの日……そなた達が、此処で会うた時に予感はしておりました」


「……私にその様な思いを持とうとは……」


 神楽の君様は力なく笑まれて言われた。


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