第24話

「太古の昔より男神が女神になったり、女神が男神になったり致しておるではございませんか?」


「ええ?」


 再びお二人は異口同音でお声を立てられたが、特に神楽の君様のお声が大きいのは当たり前の事である。


「お母君様、私に女になれと?そう申されますか?」


「……今上帝がお望みならば……」


「は?如何して私が?」


「そなたは、今上帝がこのままそなたを思って、妻を顧みずとも良いと申すのですか?」


「……それとこれは、私には関わりがないかと……」


「何を申します?今の今上帝をご覧なさいまし。恋煩いで寝込む程でございますよ?そなたを思って死にかけたではありませんか?」


「お母君様、死にかけてはおりません、多少弱りは致しましたが……」


「ふん。あのまま、そなたか私がおらねば、どうなった事やら……」


 お妃様は至極真顔をお作りになられて、とやかくと口答えをされる、神楽の君様を睨め付けられた。


「もしも、このまま今上帝がそなたを思い続けて、皇后や女官に目をくれずにいたら如何いたすと思われます?帝位を巡って争いが起こりましょう?その機を狙って、世は乱れ魑魅魍魎が跋扈ばっこ致します。そうなったら如何致します?平安の治世のお祝いに、大神様より贈られた私は?」


「お母君様……貴女様は、お父君様とお別れになりたくない、ただそれだけの一心で、私に女になれと申されますか?」


 神楽の君様は呆れられて、お妃様を見つめられる。

 あまりの成り行きに、今までお見せになられた事など無い程に、テンパっておいでだ。


「何を申しております。平安の世を守る為ではありませぬか?


 お妃様は物凄ーく、お力をお入れになられて言われた。


「よいかじゅよ我が一族は、太古の昔鳳凰が産みしらんの一族であるのですよ」

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