迷宮街のクラン経営者

プロローグ

　七つある大陸の中で最も瘴気が濃く苛酷な大陸の、厄介な性質を持った迷宮を中心に栄える都市『エルディア』。

　元々この地は人が住むには不適合な環境であったが、天高く伸びる塔が出現したことにより一変した。

　塔の内部は凶悪な魔物が徘徊し、倒したそれに由来した素材がその場に残った。

　塔は貴重な資源を齎す、謂わば『宝物庫』だと判明した。

　その後も各地で同様の塔が出現したが、どれも最初に出現したものより圧倒的に劣るものであった。

　そのため数多の犠牲を出しながらも、この地に街がつくられた。

　エルディアに住まう大多数の人間は迷宮が齎す富に依存し、そして莫大な富と名声を求め訪れる外部の人間も一度迷宮の恩恵を受ければその虜になり腰を下ろす。

　徐々に拡大して、現在では一国に匹敵するとも言われる領域、迷宮を探索する屈強な戦士達が多数生活する。

　故に、『始まりの迷宮都市エルディア』は世界にその名を刻んだ。