『大事なのは、入れ物じゃなくって中身』というテーマのもと、思い人・早苗の幸せのために、自分のできる限りの愛情を注ぐ青年・修司の姿を描いた作品です。
相手にふさわしい人間になるための努力、ふられた後、本当の愛とは何かを真剣に考える姿、早苗の人生が一変した後の献身的な振る舞い。
自分で考え、自ら導いた本当の愛の在り方に従い、真っ直ぐであたたかい真心を持ち続けた修司に胸を打たれました。
同級生や妹から茶化されることも多い修司君ですが、彼自身も周囲から愛され、大事にされているんだなと感じました。
そんな修司君だったからこそ、早苗ちゃんのことを大事にできたのだと思います。
心に染みる一作でした。
出だしは、普通のラブコメ物のような乗りで読み進めさせて頂いていたんですが、彼女が難病を患うようになった辺りから空気が一変しました。
嵐やAKBなど、それまで出てきたさまざまな〝ルックス〟に関するネタは、この後の展開への前フリだったんですね。
早苗が障害者となっても、早苗への愛を貫く修司。
そう、恋じゃなく愛ですよね。
修司の理屈は分かりますが、分かっていても修司のように行動できる人は稀でしょう。
長年連れ添った夫婦などであればまだしも、大学の同級生というだけの関係ではなおさら……。
こういう物語を拝読したからといって、私も今後は修司と同じような行動がとれる自信は、やっぱりありません。
だけど、修司の出した答えが人としてとても尊いものであることは分かりますし、そうありたいとも思います。
素直に、心が洗われるような物語でした。
修司と早苗の未来が、どうか明るいものでありますように。