福建省と偷渡客(密航者)

 今まで特に調べたことがなかったので知らなかったのだが、中国人たちの間で「偷渡(tou1du4 「密航」のこと)」といえば福建省というぐらい福建人は世界中に不法入国しているらしい。

 この原因として、もともと福建省は「八山一水一分田(八割山、一割水、一割畑)」などと言われるぐらい山は多いが耕せる畑はなく、長楽や福清など沿岸の都市には良港が多かったこともあって、畑作よりも海外へ出稼ぎに行こう、と考えたものたちが多かったから、ということらしい。

 「ある中国人密航者の犯罪 銭黄山(著)」によると、1980年代、中華人民共和国では鄧小平が「先富論(先に豊かになれるものから豊かになれ)」を唱え改革開放が始まったが、もともと耕せる畑もない福建省の貧しい農民・漁民たちはやがて密輸で儲けたり、(当時、正規の方法で出国するのは難しかったため)偽の旅券を作ってアメリカや日本などに密入国し、不正な手段で得たお金を本国に送金したりするものが後を絶たなかったらしい。

 こうした密入国の斡旋をビジネスにしているのが「蛇頭」と呼ばれる福建系の犯罪組織で、彼らは密航者に旅券や船を手配する代わり借金をさせて儲けているようである。日本人の構成員もいるんだとか。

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