「饅頭考」 饅頭は孔明の発明?

 日本では「饅頭まんじゅう」と言えばあんこの入った甘いお菓子であるが、中国の「馒头マントウ」はどうやらそうではないらしく、どちらかというと「蒸しパン」である。

 「肉饅頭」というのもあるが、中に何か入っているようなものは「包子バオズ」と言われる。


 饅頭の起源については有名な故事がある。

「新宿中村屋」の公式ウェブサイトによると、中華まんじゅうの起源は中国の三国時代諸葛孔明が南蛮征伐の帰途、氾濫した川を渡ろうとしたときに、川を静めるために人頭の代わりに小麦粉の皮で肉を包んでまんじゅうを作って水神にささげたことが始まり、とある。

 つまり、饅頭は孔明の発明だというのだ。


 しかし「百度百科」によると、この話が載っている「三国演義」は小説、「事物紀原」の記載も稗官野史(はいかんやし 民間に伝わる物語や言い伝え、うわさなどを歴史風に書いたもの)であるため、諸葛孔明の発明であるかを証明できないが、少なくとも大昔の少数民族に人頭を使う祭天(天を祀る儀式)があり、人頭の代替品として饅頭を使っていた可能性があるらしい。


 ところで、日本に饅頭を伝えたのは南北朝時代に大陸から日本にやってきた林浄因りんじょういんという禅僧らしい。

 しかし当時、中国で食べられていた肉饅頭は不殺生戒の厳しいお寺では食べることができず、中身を甘いあんこに変えて作られたものが現在の饅頭の原型になったんだとか。

 奈良県奈良市にある漢國神社かんごうじんじゃには「まんじゅうの社」というのがあり、林浄因を祀って彼の命日の4月19日に「饅頭まつり」が行われている。

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