第16話 お姫様抱っこ
「ねぇみいちゃん。お姫様になりたい?」
「は?」
突然のシロ先輩の「お姫様になりたい?」発言に思考が停止する。
「…えっとシロ先輩。お姫様になりたいというのは?」
「昨日漫画でこんなシーンを見つけてね」
そう言ってシロ先輩が取り出したのは、私が貸した少女漫画『ドキドキ♥️学園』第一巻。
それを見せられて私は思い出す。
「あー。そういや主人公が学園の貴公子にお姫様抱っこされてたシーンありましたね。てことはもしかして」
「そう。みいちゃんをお姫様抱っこしてみようかなと思って」
なるほど。それでさっきの「お姫様になりたい?」発言か。
「私は別にいいですけどシロ先輩は大丈夫なんですか? お姫様抱っこってイメージよりかなりキツイと聞きますよ」
人ひとりぶんの体重を支えないといけないのだ。私がいくら小柄とはいえ、シロ先輩の細腕では大変な重労働だろう。
「大丈夫よ。愛の力でなんとかしてみせるわ」
と言ってフンスと鼻を鳴らすシロ先輩はとてもかわいらしい。
「じゃあ遠慮なく」
私はシロ先輩の首に両腕を回し抱きつく格好となる。
それからシロ先輩が私の膝裏に腕を通しグイッと持ち上げて――
「……シロ先輩。私重くないですか?」
「全然。むしろ軽すぎてみいちゃんがきちんとご飯を食べてるか心配になるわ」
「ちゃんと食べてますよぅ」
甘えるようにシロ先輩の頬に私の頬をこすりあわせる。
「フフ、みいちゃんくすぐったいわ」
そう言いつつもなすがままにされるシロ先輩。
そんな幸せな時間は瞬く間に過ぎ、シロ先輩の腕が限界に達したところで地面に降ろしてもらう。
「どう? お姫様になった気分は」
「控えめに言って最高です」
願わくばいつまでもシロ先輩が私の王子様でありますように。
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