第11話 シロ先輩と初めてのお泊り
とある夏休みの日。
いつもなら10時過ぎまで寝ている私にしては珍しく朝6時に起き、」朝食を食べて洗顔をすましてからはずっと家中を歩き回っていた。
何度も時計を見直し、そのたびにまだかとため息をつく。
「みすずちゃん。楽しみにしてるのはわかるけどいい加減落ち着きなさい」
とうとう母にたしなめられてしまった。
なぜ私がこんなにそわそわしているのかというと、今日は初めてシロ先輩がうちに泊まりに来る日だからだ。
これまで私の家に泊まりにきたことがあるのは親友ただひとり。だけど高校に入学してからは親友は一度も私の家に遊びにきていない。親友いわく部活動が忙しいとのこと。やっぱり高校にもなると中学より練習がハードになるのかな。
まあ親友のことはさておき、今日はあのシロ先輩と同じ屋根の下で過ごすのだ。そう思うとなんか緊張してきた。
ピンポーン
きた!
私が急いで玄関に出ると、そこには白のワンピースを着たシロ先輩がいた。
「みいちゃんおはよう。今日はよろしくね」
「こ、こちらこしょよろしくお願いします!」
うわーめっちゃ噛んだ。私ってば緊張してるなー。
恥ずかしさをごまかすように私はシロ先輩から目を背け、そのままシロ先輩の手をとり家のリビングに案内した。
リビングには母がいたのだが――
「いらっしゃいシロちゃん。ゆっくりしていってね」
「シロちゃん……? あ、いえ、お世話になります。あなたはみいちゃん――みすずさんのお姉様ですか?」
「あらあら、お世辞でもうれしいわね。ところがどっこい私はみすずの母の真央です」
「お義母様だったのですね。失礼しました」
「あらあら。みすずちゃんたら、こんな別嬪さんをつかまえてくるなんてなかなかやるじゃない。避妊はしっかりするのよ。あ、女同士じゃ子どもはできないか」
「ちょっとお母さん!?」
ごらんのように私の母ははっきり言って天然&変人だ。だから本当ならシロ先輩には会わせたくなかったんだけど……。
「じゃ、あとは若いふたりでじっくりとね。私はこれから温泉旅行に出かけてくるから」
「ちょっとお母さん私その予定聞いてない!」
「今決定したわ。私がいるんじゃ気を遣ってエッ◯できないだろうし」
「余計な気を回すな!」
「じゃーねー」
そう言い残し母は颯爽と家から出ていった。なぜか手ぶらで。温泉旅行に行くんじゃないんかい!
「ハァ、ハァ、疲れた……」
「くすくす。面白いお義母さんね」
「私の母がごめんなさい。あとさっきから気になってたんですけど母を呼ぶときの発音なんか違くないですか?」
「気のせいじゃない?」
絶対気のせいじゃないと思う。
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