第2話 アーンと間接キス
「みいちゃんアーン」
「アーン」
私とシロ先輩はカフェに来ていた。
パフェをスプーンですくい、私の口元に持っていくシロ先輩。
私はパクっとそれを咥え、最上の甘味に舌鼓を打つ。
この一連の流れはパフェが無くなるまで続けられる。
端から見ればバカップルそのものだろうけど私もシロ先輩も気にしない。
…や、気にならないと言えば嘘になる。
なにせシロ先輩はそこらへんのアイドルや女優なんて相手にならないほどの美人さんだ。
そんな彼女が私みたいなちんちくりんな女に餌付けしているものだから、そりゃ嫌が応にも注目が集まるわな。今もガンガン周りの視線を感じるし。
最初は恥ずかしかったけどもう慣れた。というのもこのただひたすらにシロ先輩が私にアーンし続けるだけの儀式は毎週必ず一回は行われるからだ。
シロ先輩はというと初めから恥ずかしさを感じていなかったように思う。さすがシロ先輩。メンタルが強い。
そんなことを考えながらパフェをついばんでいると、突然シロ先輩のスプーンを持つ手が空中で止まった。
そのままじっとスプーンの先を見つめ続けるシロ先輩。
「シロ先輩どうしたんですか?」
「……」
いつになく真剣な表情だ。一体シロ先輩はスプーンの先に何を見ているのだろうか?
「…よし」
小声で何かを決心したかのように呟くと、再びパフェをすくい、それを私の――ではなく自分の口元に持っていった。
そしてそのままスプーンをパクリ。
…あれ、もしかして今の間接キスってやつじゃあ……。
「…みいちゃんのスプーン美味しい」
「ちょっシロ先輩主語間違ってます!」
どうやらさすがのシロ先輩も間接キスは恥ずかしかったようです。
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