スーホ

毎日の愛犬の散歩コースに小さな空き地がある。

その空地は国道沿いのコンビニエンスストアに隣接している。


空地と言っても、どこかがちゃんと管理している土地なのだろう。

胸ほどの高さまであるフェンスに囲まれていて、一か所ゲートが付けられているがそこも鎖と南京錠で封印がなされており立ち入りはできない。


コンビニエンスストアの駐車場には大きな看板が立てられており、夜中でもその空地に光はほとんどささない。


夏から秋にかけて雑草が腰の高さより高く繁茂する。

私はその草むらが好きではない。

風のためか中央付近の草が倒れており、そのぽっかりと空いた空間に何かが見える時がある。


それははっきりと見えないのだけど、子供の服のようにも見える。

ごく稀に風に乗って何かが腐ったような匂いがする時がある。



毎年、五月のあたりに一度だけ草刈りがされる。

それをやっている瞬間は見たことがないのだけど、おそらく電動の草刈機で一気にやっているのだろう。

刈った草はそのまま地面に放置したままで、ただ根元付近からバッサリと刈るだけ。



しかし、動物の死骸だとか、それ以外の何かが見つかったとか言うような異変があったとか言う話は聞かない。



そして、半年もたたないうちにまた腰近くまで雑草が伸びるのだ。

今年もまた草が繁茂した。

やはり中央付近に何か見える。


その空地の草は風が吹いてもあまりそよがない。


青くさい中に、むかっとするような腐敗臭が嗅ぎ取れる気がする。



今も、その空地の中央付近の雑草にぽっかりと空間が開いている。


伸びあがってみれば、もしかしたらもう少し見れるかもしれない。


しかし怖くて確かめる気にはなれない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スーホ @suho48

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る