別れ。
俺のトリノでのキャリアはもうすぐ終る。
そんな中…まさかのオファーがあった。
ポルトガルの名門クラブ、スポルティングCPだ。行くしかないと思った俺は迷わず移籍オファーを受け行った。トリノに残っても居づらいだけだ。
翌日の入団会見。
「えぇ…まずなんですが小野選手。今回で4つ目のクラブです。短いスパンでの移籍をしていることにクラブへの忠誠心がないのではないか?と疑問に思います。あなたはどう思っていますか?」
「全ての移籍は自分のキャリアアップだと思っております。クラブへの忠誠心がない訳ではありません」
「今回の移籍はライバルクラブへの移籍噂の件で移籍したという認識でよろしいでしょうか?」
「そう思われても仕方ないかもしれませんね。ですが違います。スポルディングCPはとても素晴らしいクラブです。ロナウドやフェルナンデスが在籍したことのあるクラブです。移籍するしかないでしょう」
「確かにそう考えますね」
「えぇ…トリノを去って後悔はありますか?」
「ないね。いいシーズンを送ったと思ってるよ。後悔を持って移籍したくないからね」
「ありがとうございます」
「失礼な質問にはなりますが…日本人がスポルティングで活躍出来るとは到底思えません。今までの日本人もビッグクラブにいても活躍が出来ていません」
「結果が大事なのは分かります。ですが私はいかに早くチームフィットするかを先にしています。そしたら努力次第ですが自然と結果は着いてきます」
「ありがとうございます」
記者会見が終わり監督と話す。
「監督。僕を獲得してくれてありがとうございます」
「礼はいらん。君の実力を買っただけだ。スポルティングの9番は君なんだ。しっかりしてくれ」
「そうですね。仰る通りです」
「期待してる」
「ありがとうございます」
ピュー!ピュー!スポルティング・グルーべ・デ・ポルトュガルに響く歓声。もうすぐ…始まるぞ…FCポルト戦が…
FCポルト。言わずと知れたポルトガルの強豪クラブだ。
ホームだ。屈することはない。今のポルトは1位と首位を立っている。
「いいか?サポーター達のために頑張るぞ。前回は2-0と負けてしまった。今度は負けさせてやれ」
今回小野はスターティングからは外れている。ベンチスタートだ。ベンチに座れただけでも光栄だ。そして試合開始の笛が鳴る。
ゴラッソ 天ノ川鋼 @yanagidanaito
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