第6話 帰宅
これ以上核シェルターに居る必要は無いと考え、自宅に戻ることにした。帰路が短いとはいえ、外には自動車、人すらも通らず静まり返っていた。
無事帰宅したのはいいが、何か違和感がある。家を散らかして出た記憶はないが、タンスは引き出しが中途半端に空き、中身が乱雑に散らかっていたり、「泥棒が入ったのか?」と、思えるような程、泥や水がフローリングを覆っていた。
仕方なく片付けを始めようと思っていた矢先。
「オメーら ヒック 誰だよ。勝手に俺ん家 ヒック 入ってんじゃねーよ ヒック 」
酔っ払いのおじさんが家のドアを勝手に開け怒鳴りつけてきたと思うと、靴のまま家の中に入ってきたのだ。きっとこのおじさんがウチに居座っていたのだろう。
しかし、あの一日のうちに良くここまでしたものだ。
自宅に突如として現れたおじさんに当然、みんな動揺した。とっさに私は台所に投げ出されていた包丁を握りしめ、酒臭い酔っ払いのおじさんに飛びついた。
ガタイの良いおじさんに飛びつくのはなかなかの勇気が必要だった。それに、家族の目線が気になる。だがやるしかないのだろう。
おじさんはもがいた。
ガタイの良さを生かされ、押し返されそうになった。
しかし、氷のように冷たい包丁が温かな血液に触れた。
おじさんの腹は脂肪が多いのかとても柔らかく刺しやすい。
「気持ちいい・・・」
私は人殺しに快感を感じてしまっていた。快感を感じたが、自分の良心がこれ以上の惨劇になる前に止めていた。家族の目の前だ、何度も刺すなんて出来るわけがない。
すると、懸念していたことが起こったのだ。
last government 高梨 鯨 @TakanashiKuzira
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