十三.
かくん、という衝撃を感じて目が覚めた。
電車は駅に止まっている。
すぐ横の扉から、ぞろぞろと人が降りはじめていくところだった。
首を曲げて、うしろの窓からホームを見る。
柱に打ちつけてある駅名表示のプレートには『ほうや』の文字。
急いで立ち上がり、降りる客が途切れて乗り込もうとしていた人の間をすり抜けてホームに出た。
あやうく寝過ごすところだった。
改札口にむかう階段を上っているとき、携帯電話が振動しているのに気がついた。
バッグの中から電話を取り出す。
画面は、バイト先の友人からのメール着信があることを告げていた。
○
うす暗い白熱灯の明かりの下、少女はひとり、ちゃぶ台にむかう。
目の前の大きな白い丸皿の上には、均等に切られた、赤くてつやつやした肉片。
少女はみじかく合掌してから箸を取る。
まぐろ/長い長いうなぎのおはなし ギルマン高家あさひ @asahit
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