第18話 俺と魔王と勇者さん (11)
すると、白い甲冑を着衣した女性が、「えっ、うそ? これって、乗り物なのですか?」と、逆に訊ねてきたから。「は、はい。そうですよ」と、俺は言葉を返した。
でッ、言葉を言い終えると。もしかして、この女性は、俺に冗談を告げて揶揄っているのだろうか? と、思い始めたのだよ。
だって今時……と言うか。この近代日本に住んでいて自動車を知らない人など、この平成の世にいないとは思うから……。
と、言いたいところなのだが。白い甲冑を着衣した女性の様子を、俺は今も横目で『チラチラ』と見ているのだが。彼女は自身の顎に手を当て、俺の愛車のハイエースを注意深く興味津々に見ているのだよ。
そんな彼女の様子を凝視すると、俺にウソをつき揶揄っているようには見えない。
まあ、俺がこんなことを思っていると。
「鋼で動く乗り物ですか……。こんな物が動くなんて本当に凄いですね……」
と、独り言のように、白い甲冑を着衣した女性は呟くから俺は、「はぁ~」と、だけ言葉を返した。
すると、今度は彼女、「一体どんな魔法の呪文を唱えれば、この鋼の乗り物は動くのですか?」と、真剣な声で訊ねてきたから。俺も真剣な声で、「化石燃料です……」と、冗談を交えて答えたら。
「そ、そうですか。ありがとうございます……」
と、俺にお礼の言葉をくれたまでは良かったが。直ぐに彼女は、「化石燃料~、化石燃料~。おおおっ! 化石燃料~!」と、両手を天高く掲げ、声を大にしながら叫び始めた。
俺と魔王さまと勇者さん かず斉入道 @kyukon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺と魔王さまと勇者さんの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます