飛行機事故に遭ったミナミは、熱帯のどこかの島で目を覚ます。
そこで出会ったのは、マレー語でジャスミンの名を持つ王女。
ミナミは、ただ一人の妹・茉莉の待つ日本へと帰れるのか?
実は連載中にも読んでいたので、今回、二巡目です。
とにかく最初の一文から、一文一文の表現が素晴らしい。
展開は知っているので、少しずつ味わいながら
再読しようと思っていたのですが、やはり
第4部になると、先へ、先へと読んでしまいました。
ミナミと、妹の茉莉。
アングレック王と、妹のムラティ王女。
王女と、忠臣アディ。
ミナミと、ファジャル。
美しい熱帯の風景と、歴史の激動と、様々な愛の形。
全ての謎が解け糸が収束する最後の部は、圧巻です。
おススメです。
小さな飛行機は空中で十二回転したあげく、水面に叩きつけられた。――キャッチコピー通り衝撃的に始まるこの物語は、エキゾチックな南の島で目を覚ました主人公の一人称で進んでゆきます。
飛行機事故という誰がどう考えても死亡確定としか思えない状況ですから、主人公のミナミも読み手も、ここはどこだろうと考えながら読み進むわけですが……。出てくる言葉、文化、人々の外見などが、まるで東南アジアなのです。
なので、アジア圏ベースのファンタジーがお好きな方にはまず、お勧めです。
主人公のミナミは、日本に残したただ一人の妹を想いながら、日本へ帰れる手段を探っていきます。その過程で、ここがどこで、自分がどうしてここに来たのか、少しずつ判明していくのですが、とにかくいろいろ絶望的。
ネタバレしてしまうとあまりにもったいないので、詳しくは書きませんが、終盤で一気に流れが収束していくところは見事としか言いようがなく。指輪、手紙、……、小さな小物一つとっても仕掛けにつながる、隅々まで張り巡らされた伏線には鳥肌モノです。
ファンタジーが好きな方にも、家族愛、恋愛が好きな方にも、ミステリーやホラーが好きな方にも、楽しめる仕掛けが満載ですし、文章がとても丁寧で異国情緒の雰囲気にどっぷり浸かることもできる、非常に読みごたえのある作品です。
全部で16万字ほどで完結してますので、安心して一気読みできますよ。お勧めです。