紅葉の獣

@krod132

紅葉の獣

石畳を歩く音

鼻をくすぐる茜の薫り

山は朱く何処までも

鳥居のように並び立つ

地に落ちた枯れ葉を踏む

砕ける音が宵を覚ます

寒風されど温かな風を頬に受け

獣は帰路につく


川のせせらぎ 寂しく聞こえて

鈴虫の音が朱色を奏でる

残照に栄える影はどこからともなく

ただ私の足元から伸びる


聞こえる歌声 それは祝詞のように

暗闇に沈んでは耳に染み渡る

私の声をかき消して

歌がは鮮やかに山を塗り替える

白銀の衣を来た獣

今はまだ影を歩く


次第に暮れる景色を眺めて

私はそっとこぼした

ああ、身近にあるものほど美しく思える

獣は茜色の帰路につく

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