第3話 食生活って大事なん?

『もしもーし、今日、病院行ってきたんやろ。なんて言われたん?』 

いつも通りの明るいトーンの話し声だった。

マナミは、僕の体を心配してくれているが、 体調を気にし過ぎている僕に早く体調を気にしないでいいようになって欲しいと願っている。


デートの時でも人混みの多いところや、天井の低い地下などに入ると、僕が、フラフラと目眩を感じることがあるので、気を遣うようである。


『メニエル病ではないみたい。目眩って診断難しいんやって。

脳と耳の異常ないから、耳の奥にある三半規管の浮腫みが取れれば、目眩は収まるであろうと。』


すると、マナミは、

『異常が、なければよかったやん。

耳の奥の三半規管の浮腫を取るのは、どうすればええんって言われたん?』


『毎日、水を1.5リットル飲むことだって。ノンカフェインのものならいいらしいよ。』


と、僕は不満げに答えた。


『それを聞いて、ソイは、毎日それだけ水分取るん?』

とマナミは笑いながら、聞いてくる。


続けて、

『ソイは、コーヒーも緑茶も好き。コーヒー、1日3杯くらい飲んでるやん。それに加えて、水もそんなに飲むの?運動もしてないのに(笑)』


『薬飲んでも治るわけでもないんやろ?

まず、ソイ自身の食習慣を見直したら?』


『どういうこと?』

と、僕は訪ねた。


『前から気になってたんだけど、仕事終わってから、夕飯食べるやん。それで、その後にお菓子食べながら、お酒飲むのが好きなんやろ?

仕事終わるのが、夜の9時くらいやろ。で、夜寝るのが1時くらいかな?

その3時間の間にご飯食べて、お酒飲んで、お風呂入ってって、内臓痛めつけてるような気がすんねん・・・。』


《ガシャガシャ・・・》


僕の心の中で、ガラスのようなものが割れた気がした。


そして、心の中で叫んだ


《悲しいけど、食べることが楽しみなんだ。食べて幸せな気分になる。それをそれを・・・》


いやいや、ここで凹んでいてもしょうがない。

目眩を回復させるヒントをくれていると考えよう。



そういえば、マナミは正食協会?とかいうところでマクロビオティックの料理を学んだことがあると言ってたような・・・。



少し間をあけて、ソイは平然を装って返事を返した。


『ありがとう。なるほど。寝る前にご飯食べるのは、よくないっていうもんなぁ。食べる量を減らせばええんかぁ・・・。』



マナミは、答えた。

『ソイは、食べても太らない体質を自慢みたいに言うけど、それって、ホンマに体にええのかなぁ・・・。よくさぁ、ソイは、口の回りにニキビできるやん。それって胃腸の調子が悪いんやと思うねん。』


当たってる。マナミは、続けてソイの気になるところをソイに伝えた。


『よく頭も掻くし、フケが気になるって言うし。頭にニキビできる事もあるんやろ?』


そうだった。

よく頭にもニキビが出来る。

毎日、頭を洗っても頭を掻くとフケがたくさん落ちる。


『そうやなあ。イライラしたらよく頭掻くわ。口の周りにもよくニキビ出るなぁ。


あのな、マナミ。

今日な、病院からの帰りに下の階の占いのおばちゃんに声をかけられて、今日の病院で言われたことを話したんやんか・・・、

マナミと一緒、食習慣を見直すことと、甘い物を食べるをやめろって、言われたわ。』


マナミは、大声で笑った。


『そうやったんや。前に少し話したことあると思うんやけど、私、マクロビオティックの料理教室行ってたことあるんやんか。食べ物で体は治せると思ってるで。

同じ日に二人から同じこと言われてるんやから、今日から少し食生活を見直したら?』


『そうやなぁ、今日から食生活を見直すよ。でも、ケーキを売ってるんやから、甘い物を減らすのは・・・』


と、言いかけたら、マナミが、僕の話しを遮った。


『アホか!! 

体がしんどくて愚痴愚痴言うてんのやろ!

目眩を気にしてて、毎日、楽しく笑顔で過ごせてんの?

甘い物は、体に毒やねん。

今度、会った時、ちゃんと説明するから、今日から食生活の見直し。甘い物を控えることね。』


と言って、マナミは電話を切った。


今の世の中、コンビニスイーツのクオリティーも高くて、いつでも甘い物を買うことができるのに・・・。

頭では、甘い物の取り過ぎは体に良くないと思っていたが、太らないので自分は関係ないと僕は、思っていた。

ケーキを売る事を仕事としてるので、その美味しさを人に伝えるため、甘い物を食べることは使命と考えていた。


これは、いい機会だと思って、自分の健康と考え方を見直す機会と思おう。


でも、体のことを考えながら食べ物を選ぶって、面倒くさいなぁ・・・と思う、


僕だった。

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添い寝屋 ソイ やすみろく @hachimiroku

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