19.シュタルク・アイ《魔術》

“特殊な力を持った瞳”というものが存在する。

 そういった瞳はが持っていることが多いが、稀ににも発現する。

 生まれつき持っている者もいれば、何かしらの要因で後天的に持つ場合もある。

 特に、意思の強さで後天的に自然発生したの瞳は、とても強い力を持っている。

 但し、のシュタルク・アイは高確率で片目のみに宿り、瞳の色が変化、もしくは眼球そのものの色や形質が変化する。

 本人の意のままに操れるかはものによる。


 シュタルク・アイは、その効果の内容から以下の三通りに分けられる。


 一つ、他者に良い影響を与える「聖眼せいがん

 二つ、他者に悪い影響を与える「邪眼じゃがん

 三つ、他者に影響を及ぼさず、自身で完結する「天眼てんがん


 聖眼せいがんは、見た者の傷を癒す、身体能力を上げる、心の闇を払うなどの効果が挙げられる。

 意外と聖眼せいがん持ちは多い。だが、色の変化が少なく効果も控えめなため、本人も無自覚な事が多々あるのだ。

 特定の人に応援される、一緒にいるなどしていると安らぎを感じる、調子が良いなどの傾向が見られる場合、––もちろん好意による影響の可能性もあるが––その人が聖眼せいがんの可能性があるかもしれない。


 邪眼じゃがんとなると、有名どころは「睨まれると石になってしまう」効果だろう。

 実際にこの力を持つ魔族がいる。

 人間の場合だと、見られただけで体調不良を起こす、強い場合は死に至ることがある。

 邪眼じゃがんを宿す瞳は高確率で宝石化しているので見分けやすい。そして、聖眼せいがんよりもとても強い効果を持っており、本人にも制御できない事が多い。

 その為、邪眼じゃがんを持つはとても恐れられ、迫害される事が多い。

 そういった背景で育ったは、高確率で裏社会に進むことになる。


 天眼てんがんは、シュタルク・アイの中で一番珍しいものだ。

 主に後天的に持つ者が多く、効果は未来予知、透視、本質を見抜く、マナや魔力を視認できるなど、個人により様々である。

 大抵の場合、自由に制御できるシュタルク・アイとなるが、持ち主はこの天眼てんがんによって得たものをどう扱うかが試される。


 世界中を股にかける、最大級の商業組織がある。

 その組織をここまで巨大に成長させた何代目かの代表の女性は、シュタルク・アイを持っていたと言われている。

 効果は天眼てんがんの「本質を見抜く力」。

 未来予知であったならとも思うが、この力を使いこなしたからこそ、彼女はこの組織をここまで押し上げたのだろう。

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