2.精霊鉱石《素材》
精霊鉱石とは、精霊の力が結晶となった石である。
精霊は世界の均衡を保つ存在で、多くの人の目には見えることがない。
精霊鉱石とは、この「均衡を保つ力」の塊なのだ。
その特性から、膨大な魔力を必要とする大魔術の媒介や核として使用することで、魔力の供給や操作を容易にし、魔術そのものの運用を遥かに円滑に、そして安全にする。
その為、もし市場に出回る事があれば、魔術師や研究者は元より、国や組織などの権力者たちが喉から手が出るほど欲しがる、超高級で危険な代物なのだ。
小指の先程の小粒でさえも、それとわかれば持ち主が命を狙われるほど価値のある、世界最高峰の素材。
どこかの国や組織が手に入れることがあれば、精霊鉱石の力をもって強力な魔術を操り、たちまち戦争にも発展しかねない。
魔力の供給さえあれば、三流魔術師でも簡単に街を焼き付くし、死者を蘇らせる事も可能だろう。
だが、その存在は囁かれても、それが世に出回った事は一度もない。
精霊鉱石は、精霊の森と呼ばれる場所にしか発生しないからだ。
そしてこの精霊の森は、精霊が許した者しか入ることができない。
人外か、心が清く精霊たちに害を為さない者か、精霊の森に住む者から招待された者。
稀に精霊に見落とされて迷い混んでしまう者もいるが、そういった場合も心が清らかな存在しかいない。
そして、そういった者たちが精霊鉱石を見つけても、採取し持ち出す事はない。
何故なら精霊鉱石は、死んだ精霊の亡骸だからだ。
一つ一つの色も形状も違う。森の中のどこにあるかも定まらない。
そのようなモノを、どうして持ち出すことができようか。
精霊鉱石は存在する。だが、持ち出す事は決してあり得ない。どんな見た目で、どこにあるかは誰も語れない。語らない。
世界最高峰の素材は、実在する幻である。
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