思い出したよ卑猥!

 神聖国・都の郊外



「ぬほっ! 喋るチ〇ーンよりも重要なことがあっちで起きている気がするぅ~!」


 待て待て悪魔よ。悪魔さん。どうして逃げようとしているのかな?


 突如として離脱を計る悪魔を僕は決して逃がさない。逃げると言うならこの喋る卑猥を持って行け。


「あん? だって前もってネタ出ししてたし。これが答えだし」

「はい?」


 何の話でしょうか?


「これよ」


 そう言って彼女が取り出したのは穴埋めクイズだ。


 ああ。そう言えばやったね。


「喉ちんこでしょ?」

「「ちっが~うっ!」」


 何故か僕が抓んでいる卑猥までもが一緒になって悪魔と怒鳴って来た。


「我はそんな物ではない!」

「そうよ。ここまでヒントを出してて何故そんなボケが出来るの? 馬鹿なの?」

「馬鹿ではないが」


 相手が悪すぎるだけだ。だって素直に答えたら負けな気がするし。


「で、これがあのツチノコだとして何だって言うのさ?」


 確かどこかの市町村に持って行けば懸賞金が貰えるんだよね? この売れる卑猥なオモチャさんは。


「アンタって本当に馬鹿ね」


 否。僕を馬鹿だと言うのであれば説得力のある言葉を期待するぞ?


「ツチノコって神の使いとも言われているのよ」

「マジで? 自称でしょ? 公式?」

「違うわ人間!」


 ブランと揺れる卑猥がこっちに文句を言って来る。ちなみにコイツの口は何処だ?


「我は神の使いなどではない!」

「違うって自供したぞ?」

「ええい。夫婦そろって言葉の腰を折るな!」


 うおっ……この卑猥、ノイエと会話していたのか?

 凄い卑猥だな。ノイエとの会話は大半の人が諦めると言うのに。


「我は神気を得て神の領域まで達した存在である!」


 はい? このチ〇ーンが神様?


「あ~。日本の奇祭とかって本にピンク色の卑猥をご神体にした神輿を担いでいる写真とかあったけどあの手の類?」

「違うと言っておろう!」


 ブンブンと揺れながら卑猥が怒る。


「我は神である。ヤマタノオロチと呼ばれ日ノ本にその名を轟かせた、」

「卑猥が夢を語りだしたぞ?」

「夢ではないと言っておろう!」


 はいはい。妄想がちな人はみんなそう言うんだよね。

 大丈夫。僕はそんな逝っちゃってる人とでも普通に話せるから。


「生温かな目で我を見つめるな!」


 そう言われてもな……で、悪魔よ? こっちに背を向けて何をしている? ニクから送られてくる映像の確認で忙しい?


 お前って奴は……少しはこの卑猥の話を聞いてやれよ。


「お前もだっ!」


 何故か卑猥に怒られた。




「……そして我はヤマトタケルノミコトに騙し討ちにされたのである!」

「へ~」


 無感情のまま一応パチパチと拍手をする。

 卑猥が頑張ったんだ。それを労うぐらいはしないとな。


 僕の手を離れた卑猥は悪魔が取り出した台の上で偉そうにしている。と言っても鎮座された卑猥な映像でしかない。要モザイクだ。


 ノイエは何やらマニカと話しているっぽいのであのままで良いだろう。マニカが頭を抱えて激しくシェイクしているが気のせいだ。何も見えません。

 きっと純粋無垢な妹が性格最悪な姉を叱っているに違いない


「聞いているのか! 鬼の子!」

「はいはい……鬼の子?」


 無視していたら卑猥が変なことを言い出した。


「気付いていないのか? お前の、」

「ヘビさんダメ」

「ぐふっ」


 瞬間移動して来たノイエが台に乗る卑猥を叩いて黙らせた。

 完全な暴力だ。迷いが微塵も感じられない。


「娘よ……容赦はして欲しいぞ?」

「ヘビさんなら平気」


 苦情も何のその。ノイエはそのままスタスタと歩いてマニカの元へと戻る。

 あっちの高級娼婦は激しいシェイクを継続中だ。セーラー服姿ですることではないけどね。


「で、卑猥。鬼の子って何よ?」

「お前は鬼かっ!」


 ノイエの一撃が思いの外大ダメージなのか、卑猥な存在がマジ泣きしながら……ちっ。この根性無しが。


「最近の卑猥は根性が無い」

「根性でどうにかなるのか、あの娘はっ!」

「どうにかなる!」

「お前ら夫婦は狂っておる……」


 どっと疲れた感じで卑猥が台の上に転がる。


「で、チ〇ーン」

「男性器ではないっ!」

「ならヘビ」

「もうそれで良い」


 拗ねるなよ?


「お前があそこに存在していた蛇で良いんだよな?」

「うむ。何故か体が融けてしまったがな」


 原因はウチの毒っ子です。


 ファナッテさんが本気を出すと恐ろしいと言うことだけが分かりました。今度から優しくして仲良くなることに全力を傾けて行こうと思います。


「で、お前が飛ばしていたあのカメっぽいドラゴンは何なんだ?」

「何だそれは?」


 おいヘビ。すっ呆ける気ならノイエにまた一撃を見舞って貰うぞ?


「冗談でも止めろ。あの娘は絶対におかしい」

「攻撃させるぞ?」

「……」


 ノイエの悪口を旦那様である僕は許しませんからね?


「旦那は黒く、嫁は白くか」

「何よそれ?」

「気にするな。あの娘ならヤマトタケルノミコトぐらい殴り飛ばしそうだがな」

「そんな伝説の人物を殴り飛ばすとか……可能なの?」

「うむ」


 断言したよこのヘビ。つかノイエってどれほど強いのかと?


「間違いなく最強であろうな。ただ自分の力の使い方を全く理解しておらんから……無駄が多すぎて最強には至っていないようだがな」

「そっか」


 ノイエの伸びしろが半端ないってことか。


「あっちで転がり回っているあれはどうよ?」

「あれか?」


 地面の上を悶えながら転がっている悪魔の評価も聞いてみる。

 腐った魔女だが歴史に名を残すほどだから凄いだろうな。


「底知れぬ経験を積んだ猛者といった感じであるな」

「猛者っすか?」

「うむ。お前の嫁が天才ならばあれは努力の人だ」

「またまた~」


 腐っても三大魔女ですよ。最強の魔女らしいですよ?


「だからこそ努力を重ねたのであろう? 最強に至るまで努力し学び続けたからこその実力だ。手本とするのであれば、あのような者を手本とすべきである」

「あれを?」


 あれをですか?

 よく見ろよ卑猥。あれを手本にしろと?


「あは~ん。凄い、すっごくブルンブルンとペットボトルが~! やっぱり限界までVにしたのは成功だったみたいね。もうたまらないわ~。Vからこぼれ落ちるあの様子に興奮が止まらな~い」


 全力で悶えているあれを手本にしろと?


 お~い卑猥。こっちを見ろ。何処を見ているのか分からない顔をこっちに向けろ。それは目なのか模様なのか分かるようにマーキングしろ。


「ただあれは我がこっちに来た時に感じた気配によく似ているな」

「ああ。何でもあれの弟子とお仲間がお前を呼んだそうだ」


 僕としてはあの馬鹿も一緒になって呼んでいた方に賭けるけどね。


「そうか……随分と長く生きておるな」

「ぶっちゃけ何百年?」

「うむ。我の体感としては、」

「言ったらお前の去勢手術を開始する。分かった?」


 瞬間移動でやって来た悪魔がヘビを脅して元の位置に戻った。


「うむ。長い年月だな。実際は短かったかもしれん。良く分からんな」

「おいヘビ? お前、弱すぎないか?」

「違うっ! あの2人が強すぎるのだっ!」


 嘆くヘビの言葉に……まあそう言うことにしておいてやろう。


「話と卑猥の腰が途中から折れているけど、あのカメは知らないと?」

「うむ……我は折れておらんぞっ! と言うか我を卑猥と言っているが、どう考えてもお前たち夫婦の方が、」

「あのカメは知らないと?」

「無視か! 無視なのかっ! ……分かった。知らんよ。何か問題でも?」


 燃え尽きた感が半端ない卑猥がクタッと半ばから折れた。


「無いんだけど……何か引っかかる感じがしてね」


 引っかかると言うか何かを見落としていると言うか忘れていると言うか。


「思い出したよ卑猥!」

「何だ?」

「この国のドラゴンの謎を!」

「ドラゴン?」


 おいおいヘビさんよ。何でドラゴンを知らないのかと。


「この世界に沢山いる害悪だね。主に人を殺して食べます」

「うむ。最も人を殺す生物は人であろう?」


 上手いことを言うなって。


「だが……ふむ」


 うんうんと卑猥が上下に頭らしきものを振るう。

 それはまるで小便を終えて……モザイクが要るな。


「我の住処に送られてきたあれらがそうであろうか?」

「はい?」

「だから我の寝所にやって来ては我を齧るのでな、思わずイラっとして全て食らっていたが」

「……」

「あれは本当に不味くてな。もうそれこそ毒でできているのかと思うほどに最低な味であった」

「なるほどなるほど」


 理解した。


「解説宜しく! 悪魔!」


 ごめん。やっぱり分からない。




~あとがき~


 色々と忘れていますが神聖国は都を中心にしてドラゴンが発生しません。

 その謎は…そろそろ解き明かさないとね。



 1話分貯金が出来たと思ったら、執筆できない時間が続いて消えてなくなる。

 そんな感じが続いていてまったく貯金ができないのです。

 コツコツ頑張って行くしかないんだな~




© 2023 甲斐八雲

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