御婆様ったら大きなお口

 神聖国・都の郊外



「やっふ~」


 テンション高めで訳もなく叫んでみる。


 着地はノイエ任せだったけどどうにかなった。

 何がどうなったのか分からないけど、無事に地面に降り立っていた。


 代わりにポーラが大変だ。顔面から地面に……ギリギリで耐えているだと? 何ですかその首元から出ている氷の棒は? 上半身に氷を纏わり付かせて堪えただと? ウチの妹は天才か?


「知ってた」

「ノイエさん?」

「だから落とした」


 思いっきり事後の言い訳ですよね? 若干焦って僕と一緒に飛び降りたよね?


 とりあえずノイエがアホ毛を伸ばして逆さになっているポーラの足を掴んで引き抜いた。


 そのアホ毛って本当に便利だな。もうほとんど触手だよね?

 頭頂部に触手を宿す女……凄いなウチのお嫁さんは。そう考えるととっても異世界に来た感じがします。獣人なんて序の口だよな。異世界だったら頭頂部に触手ぐらい宿さなければ。


「アルグ様」

「ん?」

「……」


 何故かノイエがジッと僕を睨んで来る。

 引き抜いたポーラをポイっと投げ捨て、僕に向かいアホ毛の先端が。


 へいへいお嫁さん。僕はそのアホ毛に嫉妬することはあっても気持ち悪いとかは思わないよ?


「……」

「便利で羨ましいです」

「……分かった」


 ノイエが納得してアホ毛が静まった。

 元のサイズに戻り、静かに揺れている。本当に便利なアホ毛だ。


「アルグ様」

「ん?」

「あれはどうするの?」

「そうだな」


 気づけばハリウッド映画ばりの臨場感だ。こっちはリアルだから臨場感たっぷりだ。


 大きな口と言えば良いのかな? ミミズと呼べば良いのか……やっぱりワームか。

 そのワームの先端に穴が開き、そこに牙のような歯がズラリと並び、シャカシャカと口と言うか穴を閉じる度に刃のような歯が音を立てている。


「まあ御婆様ったら大きなお口」


 気分は赤ずきんちゃんだ。

 このままだと丸かじりにされてしまう。


「ポーラは?」

「ぐるぐるしてます」

「ノイエは?」

「お腹空いた」


 良し。問題無し。


「とりあえず走りながら対処を考えよう」




~あとがき~


 実家から借りて来たPCがウイルスの巣だったんです。

 駆除をしてから再度セットアップ中につき、本日もショートでごめんなさい。


 スマホだとこの文字数ですら1時間です。普段なら3000文字は書けるのに…




© 2023 甲斐八雲

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