Side Story 12 番外⑤ 『ありきたりな学園モノ』
プロローグ
ふぉっふぉっふぉっ……メリークリスマス~!
ちょっと待て? もう年末だぞ?
ふぉっふぉっふぉっ……実は私は七福神の、
はいはい。それで何がしたいんだ? 悪魔よ? つか出て来るなって。
つまらない男ね? それでも作者なの?
つまらないとかって言うツッコミ自体が間違ってない? 神聖国の話が終わるまで『閑話』の類はやらないって言うたよね? 聞いて無いの? その耳は飾りなの?
はん! どこぞの馬鹿がリアルで転がり回っているのが全て悪いのよ! インフル拾い食いしつつも実家の忘年会に参加するって何? 馬鹿なの?
言うな。それは言うてはならん。会社の忘年会からの~の流れで酔っているだけだと思ってたんや。
だが事実、アンタは高級寿司と和牛ステーキに釣られた意志弱き馬鹿者である!
微塵も反論が出来ない。
そこでお前のダメさ加減にこの刻印さんが手を貸してあげようと飛び出してきたのよ! 崇めよ~! 讃えよ~!
手を貸す? 足を引っ張るの間違いでは?
はん! それはこの後の展開を見て決めれば良いわ!
好きにしろ。そろそろ寝たい。
なら好きにする。さあ私の趣味をとくと見るが良い!
とある世界のとある場所
『今日も女王様が……』『主が縄張りを主張しているわ……』『見て。あの積み上がったどんぶりの数を』『あれで太らないって絶対に詐欺よ。何かしらの詐欺よ』『ハァハァ……あのウインナーを咥える口元がたまらない。ハァハァ』
何故かハァハァと言っていた男性が、有無を言わせない気配を纏った女性2人に挟まれて連行されて行った。
女性の腕には腕章が巻かれている。腕章には『生徒会』と。ふむふむ。あの馬鹿従姉の仕業か。
「なに?」
「みんなが良く食べるって」
「はい」
アホ毛をフリフリさせてノイエは極太ウインナーが乗ったペペロンチーノを食べ終えてかつ丼へと移行していた。
その食べ合わせは何だ? どんな構成だ? 値段が安くて量が多い物をチョイスしたと?
「ノイエ。これ」
「はい」
彼女の隣に座って居るリグがノイエの丼にチンジャオロースのピーマンを全て乗せた。
リグよ。それはもうチンジャオロースではない。別の料理だ。
そしてノイエよ。かつ丼の玉ねぎと一緒に僕のミートソースのパスタにピーマンと玉ねぎを置くな。別の料理に……何故か横からニンジンが追加されたぞ?
セシリーンさん? 貴女は好んで野菜を食べる人だと信じていたのですが? レニーラがパスして来たと? おいレニーラ? 犯人はシュシュだと? 黄色いフワフワの本日のメニューは卵サンドだぞ? 間違って入っていたニンジンをパスされたと苦しい言い訳を続けるのか?
判定ギルティ。
レニーラのかき揚げ蕎麦に七味を大量にぶちまけてやった。
涙目で食べ始めたレニーラが口元を押さえて駆け出して行く。これぞ天罰である。
「で、ノイエさん」
「はい」
「かつ丼はどこに消えた?」
「知らない間に」
君の胃袋の中にすべて消えたよね? 食堂のオバチャンが最終兵器の寸胴カレーライスを提供してきたから、本日はそれで終わりだからね?
だからって周りの人たちに何かを懇願しない。
周りの人たちも寸胴の中に揚げ物を入れて行かないで。
寸胴カレーライスを完食者ゼロの無敵カレーライスにクラスチェンジさせノイエが気持ちよく食べだした。見ているみんながほっこりしているから許そう。唯一セシリーンだけがマイペースにサラダを食べているぐらいだ。
「でさ~」
ノイエ以外の食事が終わったようなので僕はみんなに話を振る。
そろそろツッコんでも良いだろう。
「この世界って何なの?」
気づけば僕は高校生となり学校に居る訳だ。
犯人は分かっているが、犯人が1人とは限らない。
姿を見せていない人物も怪しいが、姿を見せている人物も怪しい。さあ吐け。
「世界って?」
チンジャオを僕に送り付けロースを食べているリグが首を捻る。
これこれリグよ。その机の上に乗っている胸に布巾を掛けなさい。汚れるから。
何より君の胸はカップホルダーか? 本当に挟むな。そして飲みだすな。
「あ~。何と言えば良いのか良く分からないけど……」
僕はザックリと説明をした。
本来の僕らが居る場所はドラゴンが居て、そして『ノイエの姉』と呼ばれる彼女らは、全員ノイエの魔眼の中に居るのだ。
そう言った説明を長々とは出来ないので簡単に説明した。
「なるほど」
セシリーンが常温の白湯を口にしながら小さく頷くと、その顔をノイエへと向けた。
「ノイエ」
「ほむ」
口からエビフライの尻尾を飛び出させながらノイエが応じる。
「少しは彼を眠らせてあげないと」
大変優しげな声に僕の胸が痛んだ。
僕が寝不足でおかしなことを言い出したとでも思っているのだろう。
間違っていない……ん? 間違っている。僕の発言は間違っていない。ただ周りの優しさは嬉しい。
「大丈夫」
唐揚げを何個か口に放り込んでノイエが頷いた。
「アルグさんならあと数人居ても平気」
「「……」」
何故かノイエ以外の視線が僕を見る。セシリーンですら瞼を開いて僕を見ている。
おいおいハニーたち? 僕は婚約者だけを愛する男だぜ? 本命が居るのに他に手を出すのはクズの所業だろう?
「アルグスタはクズだから平気」
「リグさんよ? 何を持ってそんなことを……まさか?」
何故か褐色の顔を赤くさせてリグが顔を逸らす。気づけば、セシリーンもレニーラもシュシュも顔を逸らしていた。この流れだと僕も逸らした方が良いのか?
「なぁん」
ぴょこっと猫耳をテーブルの下から飛び出し、そして前髪で隠した顔も出て来た。
セシリーンの膝枕で寝ていた猫が起きたっぽい。
「ご、はん?」
「はいはい。準備してあるわよ」
「は、い」
保護者と言うか、もうほぼ母親なセシリーンがファシーにご飯を与えだす。
伸びきったうどんだが、猫舌な猫はそっちの方が良いらしい。ちゅるちゅると食べだす姿にノイエとは違うほっこり感が広まる。これが癒しだ。
「で、アルグスタ君」
「ほい?」
自分が食べていたそばを男子生徒に押し付け新たにあんパンを
「世界がどうとかってどうなったの?」
「あ~」
相手のツッコミにそのことを思い出した。
「もう良いや。たぶん寝ぼけてたのかも」
「そうなの?」
「うん」
と言うかあの悪魔が仕掛けているなら徹底して根回ししているだろうしな。
僕が1人騒いでも仕方ない。ここは相手が飽きるまで流れに身を任せよう。
「だからノイエ」
「なに?」
食後のドリンクを堪能しているノイエが僕を見た。
君はあれを食べたと言うのか? 君の胃袋はどうなっている?
「今夜は1人で寝るからね」
「む」
「不満げにアホ毛を振っても……叩くな叩くな」
伸びて来たアホ毛が僕の頭をペシペシと叩いて来た。
おかげで凄く落ち着いた。彼女に叩かれて落ち着くとは僕も終わっているな。
まあ良い。良く分からないがきっと何かしらのテストか実験が始まったのだろう。
ただ不満は言いたい。こっちの都合も聞かずに勝手に始めるなと言いたい。悪魔の都合で振り回される身になれと言いたい。
いつもいつも不意打ちで始めやがって! いきなり異世界スタートの感じを味わえたよ!
お茶に手を伸ばし僕は一息ついた。
そう。これは異世界体験だと思えば良いのだ。
今朝突然学校スタートで開始された異世界転生だと思えば。
~あとがき~
当初は神聖国編が終わったら発表予定だった番外編です。
何故これを出したかって?
疲労困憊な馬鹿がインフルを拾い食いをした結果ですねw
ですが1話しか書いて無いのに発表して大丈夫なのか?
どうにかなるさ。だってこれって脊髄反射のみで書けるしね。
そんな訳で何話かこれを続けます。
そして来年は毎日投稿を基本としますが、たまに不意打ちでお休みを頂くかもです。
22年の最終出勤に上層部から昇進の打診と言う名のほぼ決定的な事実を伝えられ…辞めてしまいたい。出世などしたくないのです。
まあ仕事内容は今までと変わらないので…何らかの詐欺か?
来年もマイペースで頑張りますのでご声援お願いします。
では、皆さま…良いお年を
© 2022 甲斐八雲
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