第3話 騒めく魔物たち①

この世界にも魔物はいる。




基本的に魔物は知性がない。獣と同じように群では行動するが、人間のように物を作ったりなど、文化的な交流は一切ない。本能のまま、生きている。




そんな魔物が棲む森にてーー




なんだあれは




にんげんがきたのか?




にんげんじゃない、まものでもない。




いきなりあらわれた




突如として現れた気配に魔物たちは騒つく。




本能でわかるのだ。あれらは自分たちよりも強い。




そしてなにより、森を埋め尽くすほどの数。




もし、自分たちを討伐しにきたとすれば、戦わねばならない。




弱肉強食。それがこの世界のルールだ。




しかし、魔物たちは出来るなら何事もなく過ぎ去ってくれと願うのだった。




魔物たちがじっと見ていると、謎の大群が動き出した。




見たこともない青白い炎に照らされ、奇怪な音楽と共にどこかへと消えていった。






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魔物の森にも主はいる。




”ベヒモス” それがこの森の主だ。


ベヒモスは巨大な体を持ち、尽きない食欲で全てを食らう魔物だ。




得体の知れない大群に一瞬とはいえ、森を占領された。




下僕の魔物にそう聞いた時に怒りが込み上げてきたのだ。




自分の留守中に何者かが土足で縄張りに踏み込んできた。




このベヒモスである、自分の縄張りをだ。




誰だかは知らんが、このベヒモスを甘く見たつけを払わしてやる。




そいつらはどこだ?どこにいった?




人間の街を奪い、そこを我が物にしただと?




それで、そこには奴らの首領はいるのか?




自分の力を見せつけるには、敵の首領を殺し、その首を下僕ども前に晒しあげるのが一番だ。




なに?街を出て、今は人間の暮らす王都と呼ばれる場所にいると。




いいだろう。我々も行くとしよう。




王都とやらに。






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その頃、話題の中心人物である魔王はというと。




人間から奪った街に眷属たちを住まわせ、自分は数人の伴を連れ、”サウステンペスト”と呼ばれる王都に来ていた。




「おぉ…デカイな。日本ほどではないが、それなりに発展しているようだ。」




魔王の見た目は基本的に人間と変わらないため、他の人間から見ればただの小洒落なオッサンに見えている。




一方、伴として付いてきた魔王の眷属の妖怪たちはというと




大天狗、雪女、そして魔王の影に潜む小鬼100匹だ。




大天狗は自らの神通力で姿を人間の老人ーー筋肉ムキムキの老人へと変えていた。




雪女はというと、顔色が悪いというだけで普通の女に見えるためそのままだ。




「そういえば、雪女。もう体は大丈夫なのか?」




魔王が問いかける。




「えぇ…魔王様のおかげでもう大丈夫よぉ」




そうか、良かった。しかし、雪女を追い詰めるほどのものがいるとはな。この世界の人間も侮れないな。




「ほほう。雪女よ。情けないのぉ。人間に討ち取られそうになるとはなぁ」




大天狗が雪女を煽る。というか、大天狗よ。日本にいた時のお前はどうした?あの冷静沈着な大天狗はどこだ?もしかして異世界にきて一番楽しんでいるのは大天狗かもしれないな。




「私は…少し油断しただけよぉ。もう二度と…あんなことにはならないわぁ」




まぁ確かに雪女は真正面から戦うタイプじゃないしな。




「よーし、せっかくこんなデカイ場所まで来たんだ。観光していくぞ!」




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王都の酒場『鷹の目』にて。




「おい、聞いたか?」




「あ?なにをだ?」




男たちは酒を飲みながら会話をしている。酒場は情報交換にもってこいの場所だ。酒に酔い、口が軽くなるからだ。




「街が、ファルムドの住民たちが魔物に襲われたって」




「へぇ…まぁこのご時世珍しくはないわな」




「いやいや…俺が聞いた話によるとだな…」




男は魔物が襲ってきた街『ファルムド』の状況を事細かく説明した。




見たこともない新種の魔物、それが数万。一気に攻めてきた、そして、住民の生存者は絶望的だと。




「ばかな!!そんなことはありえないだろ!?じゃあその話は誰から聞いたんだ?」




「魔物の軍勢が襲ってきた時に、即座に勝ち目なしと判断した冒険者がここへ逃げてきたんだ。そいつらが王都でその話を広めているってわけさ。」




男の話はあまりにも現実味がない。いや、信じたくないだけかも知れないな。あそこの街からここは比較的近い。次はこの王都が標的になるのでは、と。




「とにかくだ、近日中に王都から軍隊をファルムドの街に派遣して調査をするらしい。なんにせよ、そこで答えが分かるだろう。」




大丈夫だろうか、軍隊の派遣をしたから魔物の標的になるとかはゴメンだぞ。




「た、大変だ!!」




男が勢いよく酒場に入ってきた。




「みんな…にげろ!!ま、魔物の群が…!ベヒモスが魔物を引き連れて!!ここに攻めてきやがった…!!!!」




ベヒモスだと!?なぜそんなものがここに!?




もしベヒモスというのが本当なら…”災害級”の魔物に勝てるのは勇者くらいだぞ…




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時は少し遡り、王都の城壁にて。




城壁は高さ15mほどある。それが王都を囲うように建設されている。また、その上には登ることができ、兵士はそこで常に見張りの任務に付いている。




「あ、あれは…!まさか…!!!」




まだ数キロ先だが、砂埃をあげ何かが近づいてくる。




見張りの兵士が望遠鏡で確認する。




「ま、魔物の群だ!!門をすぐに閉めろ!!!迎撃用意!!急げ!!!!」




カンカンカンと鐘を鳴らし、周りの兵士に伝達する。




同じく見張りの兵士は発光筒と呼ばれる魔道具を取り出し、空に向けた。




すると、発光筒から光の玉が勢いよく飛び出し、昼間でも目立つ赤色の光を放ちながら空に浮かび上がった。




その合図は、敵が王都に攻めてきたという緊急事態の合図だ。




その合図を王の側近が城内にある、王の執務室で見ていた。




「レイブン王よ、どうやら敵が王都に攻めてきたようです。すぐに兵士たちが撃退すると思われますが、念の為安全な場所でお待ちください。」




レイブン王と呼ばれる男が口を開いた。




「前に報告のあった、ファルムドの街を襲った魔物の群れか?」




つい先日、魔物に街を襲われ壊滅したと報告があった。その調査に兵を向かわせることになっていた。タイミング敵にもその可能性が高いと王は考えていた。




「それはまだ分かりませんが、恐らくは同一のものでしょう…人の…人間の味を覚えってしまったのでしょうか。」




熊などの動物が人の味を覚えると好んで人を襲うようになるという。魔物もその傾向があるのだ。




「失礼します!陛下、ご報告があります!!」




緊急事態にはこの部屋の立ち入りを一般の兵士にも許可している。




「どうした?」




「はっ!魔物の群れの中にベヒモスの姿があるとの情報が兵士よりありました!」




ガタッとレイブン王が椅子から立ち上がった。




「ベヒモスだと!?それは確かなのか!!」




ベヒモスは災害級の魔物に指定されており、奴が通った道には何も残らないという伝承もある。それはベヒモスの特性が暴食であり、収まることのない空腹で見るもの全てを喰らい尽くすのだ。




「レイブン王よ、もし本当にベヒモスであるならば王都の城壁など紙同然、瞬く間に突破されてしまうでしょう…」




「分かっている…!なにか…何か策を考えねば…!!そうだ!!勇者はどこにいる!?勇者が現れたと先日の報告であったであろう!」




側近の男が消えそうな声で呟く。




「勇者…勇者なら…すでに王都を発ち、隣国へ向かわれました…」




「そうか…ならば…冒険者に勅命をだせ。この王都を死守しろと。訓練中の赤狼隊にも同じく伝えてくれるか」


『赤狼隊』ーー王直属の精鋭部隊。一人一人の力はA級冒険者に少し劣るものの、恐ろしく連携が取れており、隊全体が引き出す力はS級冒険者に匹敵する。




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王都内の冒険者ギルドにて




ギルドマスターである男が冒険者に状況説明をしていた。




「今ここにいる冒険者に王からの勅命があった!魔物がここへ攻めてくるということだ!もうすぐそこまで来ている!!お前たちは王都の防衛任務に就いてもらう!」




冒険者たちに動揺が走る。




「ギルドマスター!それでどんな魔物なんだ!」




冒険者の中から質問が飛んできた。真実を伝えるべきか、一瞬考えてしまったが、仲間である彼らに嘘はつけない。真実を伝えよう。




「上からの報告によると、ベヒモスが魔物の群を率いているらしい」




ベヒモスという単語を聞いた瞬間に今まで黙っていた冒険者たちも口を開きだした。




「べ、ベヒモスだと!?」




「死にに行くようなもんじゃないか!!」




それを聞いていたギルドマスターは一呼吸おき、話しだした。




「お前たちの気持ちも分かる。だが、俺たちがこの国を見捨てて逃げ出せば、残された者たちはどうなる?聞いただろ、ファルムドの街が魔物に襲われ陥落したという話を。それにどこに逃げるつもりだ?王都を平気で襲うような奴らだぞ?どこへ行っても奴らの脅威は変わらない。むしろ今がチャンスなんだ。王都には戦力が集中している。もし、ここでベヒモスを倒せれば俺たちは英雄だ。後世に語り継がれるだろう。」




ギルドマスターの話を聞いていた冒険者たちはゴクリと喉を鳴らす。




「確かにそうだ!」




「俺たちは冒険者だ!やってやるぞ!!」




あちらこちらで冒険者の声が聞こえてくる。




よし、冒険者たちの雰囲気が先ほどよりも少し良くなってきたな。




ギルドマスターはその声に続くように冒険者にとっての爆弾を落とした。


「そうだ。言い忘れた。もしベヒモスを倒せたらその素材は自由にしていいとのことだ。つまりだ、俺たちは一気に大金持ちになるということだな。なんせ、ベヒモスだ。みんな喉から手が出るほど素材が欲しいはずだ。」




一瞬、冒険者ギルドの中が静まり返った。




冒険者にとってその発言は致命的な一撃だった。




「「うぉおおおおおおお!!!」」




冒険者たちの歓声が空気を揺らす。




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場所は王都の城壁に移る。




「お前ら…!!覚悟はいいな!!!」




と、指揮官の男が問いかける。




オーーッ!っと兵士たちの声が聞こえる。




皆、この王都に愛する家族がいる者たちだ。




今ここで魔物の群を食い止められなければ、どんな被害が出るかもわからない。




もしかしたら、最愛の家族が魔物の餌食になるかもしれない。




そう考える兵士たちは面構えが違う。




魔物が恐ろしいのは事実だ、逃げ出したい気持ちもある。




だが、家族のため、守りたい人のために覚悟を決めた男たちがそこにはいた。




「城壁の上から魔物めがけ魔法を放て、下の兵士たちは魔物の急いで魔物の進行方向上に油をまけ!」




兵士が油をまいているうちに次の指示を出す。




「投石機!もうすぐ射程圏内だ!!装填準備を急げ!!」




次から次えと王都の中から投石機が運び出される。




「対空兵器の配備も急げ!」




着々と準備が進められていた。


しかし、魔物の群はすぐそこまできていた。




「チッ…!もう限界か…」




指揮官の男が指示を出す。




「準備ができた投石機から打っていくぞ!」




指揮官の男は手を振り上げる。それと同時に攻撃開始の合図である太鼓のドン!という音が鳴り響く。




投石機に置かれた岩が勢いよく飛んでいく。




飛んで行った岩は魔物の群の中に落ちていった。




「ギィイイイイ!!!」




と、魔物の群から悲鳴が聞こえる。




「次!いそげ!」




投石機に岩を乗せるのには少し時間がかかる。




次に城壁の上に待機している魔術師に指示を出す。




「魔術師!今だ!魔物に目にものを見せてやれ!」




魔術師が一斉に魔法を放つ。




無数のファイヤーボールが魔物に一直線に飛んでいく。




今の攻撃でかなり魔物を倒せたはずだが、依然として魔物の勢いは止まらない。




「くそっ…!どんどん撃て!!!!」




「し、指揮官!そ、空に!!!」




空を見上げると羽のある魔物が上空からすでに城壁の上を越えようとしていた。




「た、対空兵器で撃ち落とせ!!」




対空兵器ーー巨大な弓のような兵器だ




「だ、ダメです!的が小さすぎて当てられません!!」




恐れていた事態が起きてしまった。


王都に魔物の侵入を許した。




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王都の市場にて




「ま、魔物だぁあああ!!」




「ひ、ひぃいいいいいい!!!!」




「だ、誰か!!!」




「兵士たちはなにをやっているんだ!!」




市場の方から住民の悲鳴が聞こえてくる。




あまりにも突然の魔物による襲撃により、まだ殆どの住民の避難が終わっていない。




いや、そもそも全ての住民が避難できる場所など存在しない。




逃げ惑う住民の中、至って普通に歩く者たちがいた。




「ん?なんだか騒がしいな。」




「人間たちが慌てているみたいねぇ…」




「魔王よ、空になにかいますぞ」




空を見上げると、コウモリと小鬼を合わせたような魔物がこちらに向かって飛んでくる。




「あら…」




ふーっと、雪女が吐息でその魔物を凍らせた。




「見たことない生き物ですな」




大天狗が日本にいたころの生き物と比較して答える。




「あ、そういえば。本に書いてあったな。こいつら魔物ってやつじゃないか?」




異世界には魔物と呼ばれる、動物や人間とは別の生き物が存在するらしい。と大天狗と雪女に魔王は説明する。




「魔物…ねぇ。妖怪とも違うみたいねぇ」




「ほほう。なんだか面白くなってきたわい。」




氷漬けになった魔物をみていると、次々に空から先ほどと同じような魔物が襲ってきた。




「ギィェエェエェェ!!」




「全く、こいつらが邪魔で観光の一つもまともに出来ないな…」




魔王は妖怪たちにある提案をする




「この邪魔な奴らを誰が一番倒せるか勝負しないか?」




大天狗も雪女も待ってました!と言わんばかりの勢いで了承した




「ワシが一番じゃ!!」




そういうと大天狗が元に姿に戻ろうとしたため




「まてまて、その姿でお前は戦え」




「なぜじゃ!魔王よ!」




「お前だけ空を飛ぶのはずるい!」




魔王も空を飛ぶことは出来るのだが、今の姿ではそれができない。




それに元の姿を見せると色々と面倒なことになるのだ。




「ぐぬぬ…あいわかった」




しぶしぶ大天狗は了承した。




「さあ、はじめようか!!」




魔王がそういうと大天狗は勢いよくジャンプをし、30m以上飛び上がった。そして、空中で神通力を使う。




「まずはこれじゃ!毎度おなじみ、豪炎!!」




大天狗の周りに出現した巨大な火の玉がまるで生きているかのように魔物を飲み込みながら動きだした。




「大量討伐じゃ!がはは!!」




雪女とはいうと




地上から吐息で魔物を凍らせながら歩いていた。




「ふぅ…もっと効率良く倒す方法はないかしらぁ…」




大天狗に比べると明らかに効率が悪い




「あ…そうだわぁ」




雪女は氷の剣を生み出し、その剣先から氷柱を撃ち放つ




「これ…良いわねぇ」




日本にいる人間がこれをみたら、こう言うだろう。




『氷の重機関銃だ』




「これ…もっと良い感じにできそうねぇ」




雪女は氷を鎧のように纏い始める。




そして、その背中に蜘蛛の脚のような氷が生え始めた。




「こうしてぇ…同時に一気にやればぁ…」




背中に生えた氷の先から、先ほどの氷の重機関銃のように氷を打ち出した。




8本同時にだ。




その8本はそれぞれが意思を持っているかのように別々の魔物を標的にしている。




「うふふ…これでぇ…私の勝ちかしらねぇ…」




その頃魔王は




「久しぶりにこれでも使うか」




魔王は自らの影からある一本の刀を取り出した。




「妖刀…雷火」




魔王は複数の妖刀を所持している、そのうちの一本『雷火』




魔王が雷火を取り出すと、先ほどまで晴れていた空が急に曇りだした。




「さて、一気に行こうか!」




大天狗と同様に、ジャンプで魔物が密集している場所へ飛んだ。




「大量ゲットじゃぁあああ!!」




魔王が、雷火で魔物を同時に数十体切り裂く。




切られた魔物はまるで雷に打たれたかのように青白い閃光を放ちながら、激しく燃え始めた。




「雷火に切られることは、雷に打たれるに等しい!あんまり斬った感じがしないからたまにしか使わんんがな!!」




雷火の力はこれだけではない。




先ほど曇りだした空から雷のゴロゴロという轟音が聞こえる。




次の瞬間、そこらにいた魔物に雷が落ちた。




「雷火は持ち主が敵と認識した相手に雷を落とすこともできるのだ!ふはは!!!」




雷雲を操り、雷を自らに宿す妖刀、それが『雷火』だ。




次々に雷が魔物に降り注ぐ。




大天狗、雪女、魔王が派手に暴れ始めてから数分、空から魔物が消えた。




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城壁付近にて




「あれが…ベヒモスか…」




魔物の中に明らかに他の魔物とはサイズが違う魔物がいた。




「打て打て!打ちまくれ!!!」




投石機や魔法、弓といったあらゆる攻撃で迎撃しているが、魔物の全滅には至らない。






そしてついに、油を巻いた場所まで魔物が来てしまった。




指揮官の男は




「油に火を放て!!」




その指示を聞き、兵士が弓矢に火をつけ油めがけて放った。




油に引火し、勢いよく燃え上がる。




かなり数を減らしたが、もうすで遅かった。




「ぜ、全員…撤退!!!」




先頭の魔物が勢いよく城壁にぶつかる。




1匹の魔物の突進ならば問題ないのだが、次から次へと魔物が城壁に突進をする。




そして、ダメージ与えた城壁にトドメをさしたのがベヒモスだ。




ベヒモスの怪力によって城壁はいとも簡単に吹き飛ばされた。




壊された城壁から次々に魔物が中へ入っていく。




「ガァアアアアアアア!!!!!」




ベヒモスが雄叫びをあげる。




どこだ?どこにいる?




こちらからきてやったぞ




でてこい!!




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「なんだなんだ?追加の魔物か?」




魔王の視線の先には、4足歩行の魔物が大量にいた。見た目は狼に近い。




「あらぁ…ちょうど良いわねぇ…追加点よぉ」




「ふんっ!ワシの獲物じゃ!」




雪女と大天狗も集まってきた。




「まて!最初に見つけたのは我だぞ!」




「早い者勝ちじゃ!!!!ほれ!!豪炎!!!」




大天狗が神通力で目の前の魔物を焼き払った。




「ちょっとぉ…私の分も残しておいてよぉ」




「どうやら、まだまだいるっぽいな」




焼き払われた魔物の後ろから続々と魔物が湧いてくる。




「次は私よぉ…」




雪女が吐息で魔物を凍らせ始めた。




魔王はあることに気が付いた。




なんか、めっちゃでかい気配を感じるんだけど。




「大天狗、雪女、少し離れる。あとは好きにしろ!!」




「勝負はどうなるのじゃ!?」




「そうですよぉ…!」




「お前らの勝ちでいい!」




えぇーーっという声が聞こえるが無視でいいか。




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兵士たちはベヒモスと死闘を繰り広げていた。




「うおぉおおおお!!!!」




兵士がベヒモスに斬りかかる。




剣が体に触れる前に、ベヒモスの豪腕が兵士を吹き飛ばした。




「くっ…距離をおいて弓で射貫け!」




弓矢がベヒモスに向かって飛んでいく。




しかし、ベヒモスの厚い皮膚を貫くには威力が無さすぎた。




「だ、ダメか…!」




「ウガァアアアアアアアア!!!」




と雄叫びをあげながらベヒモスが突進してくる。




「に、逃げろ!!!!!!!!」




その巨体から逃げられるわけもなく、弓兵たちが吹き飛ばされる。




「遅くなった!!これより、ここは我ら赤狼隊が受け持つ!!!君たちは負傷者の救護に当たってくれ!!」




そこに現れたのは。サウステンペスト最強の部隊、『赤狼隊』だった。




「俺たちもいるぜぇ!」




王から勅命のあった冒険者たちだ。




「冒険者ギルドの…ギルドマスターか?私は赤狼隊の隊長、ランゲルだ」




「俺は冒険者ギルド、ギルドマスターのガイだ!街に侵入した魔物は他の冒険者に行かせた!どうやらこっちがヤバそうだから加勢にきた!!!…っと、自己紹介をしている暇はなさそうだな…」




ランゲルが頷く。




「よし、共闘といこうじゃねえか!!」




「ああ、共に戦おう!冒険者どの!!」




「ウガァアアアアアアアアア!!!!」




ベヒモスが雄叫びをあげる。




まるで、かかってこいというように聞こえた。

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