第11話 第三世界ノクターンの日記

惺間暦574年8月5日


今日から自分の記録を付けようと思いたった。


思い立ったら即実行は、私の座右の銘なのです。なんて。(笑)


三日坊主に成らない事を祈ろう。(笑)


まず初めに自己紹介から。


私の名前は[ノクターン・ローズブレイド。]


空戦魔導師隊「スカイフェローズ」の協同戦技官をしている19歳。彼氏募集中と言うほど男に餓えてはいないけど、タイプは包容力のある年上の人かな?なんて。(笑)


因みに、空戦魔導師隊「スカイフェローズ」とは時空を越えてあらゆる星々で災害やテロなどで被害にあった人達の為に救援や戦え無い人達の為に前線に立つ組織のチームの呼称です。


他にも陸戦魔導師や海戦魔導師と言うがあるです。


私は8歳の頃に自立型魔導デバイスである[ミルテゥーヤ]を託されました。


今までごく当たり前の生活をしていた私は、学校の帰り道、とある事件に巻き込まれ、元[ミルテゥーヤ]の所持者と共闘。その事件で私の中の魔導の力が目覚めたのでした。[ミルテゥーヤ]の所持者はその事件で私が看取りました。


最初の事件を乗り越え後も、あらゆる事件や難題に遭遇したのですが、共に何とか乗り越えてきたのです。


それからも私達は共に成長し、今こうして〈困っている人達を出来るだけ助けたい。〉と言う子供の頃に抱いていた未来に、より一歩近付ける職業にも就けたのです。


だけど、最近、少し調子が変なのです。


体自体は健康そのものと組織のイケメン医師にも太鼓判を押されたのですが、違和感が半端無いのです。正確にはずっと前からその予兆はあったのかもしれないのですけど。


だけど、ようやく手に入れた未来。自己管理不足でチームの足を引っ張る訳にはいかないのです。


なので、自己記録を見返して違和感の正体を見つけるのです。そうすればリスクファクターを素早く発見し対処もできるのです。私賢い‼なんて。(笑)



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惺間暦574年8月9日


突然の立ち眩み。状況は同期のメリッサちゃんと休日のショッピング中。


幸い少し休んで回復した。メリッサちゃんには凄く心配されちゃた。


メリッサちゃんは、実は最初の事件でのお知り合いで、付き合いは結構長いのです。


その後の事件や難題の時も色々偶然が重なって良く顔を付き合わせていたものです。


その後も何や間やを経て、今では同じ釜のご飯を頂く仲良しこよしの同僚となったのでした。


そんな訳?でメリッサちゃん私の事になるとこっちが引く位に心配するんだよねー。


それで、ショッピングは中断。二人の休み重なる日あんまり多くないのに、悪い事しちゃったなー。


何せ、部署が偶然にも同じなので、お休みが被る事が余り無いんだよねぇ。人手不足は否めない感じ?


でもでも!帰りにとってもダンディーなお医者様とお近づきになれたのはラッキーでした。(笑)


お名前は[アルゴ・Q・ティアリー]さんと言うです。


偶然、倒れた時に近くにいて、診療所近くだからと言って診て貰えたのです。正に外見から言葉使い、所作までもダンディーなのでした。惚れしてしまうよ。ふふふ。


しかも、診て貰えた結果、似た様な症例を聞いた事があるとの事で、情報を集めて見るので、また一週間後に診療を受けに来て下さいとのオファーが!これで、堂々とダンディーさんに会えます。(笑)


ああ、そうだ一週後にお休み取らなきゃだ。もしかしたら、組織の若いイケメンのお医者様でも見抜けなかった原因が分かるかもしれないのだよ。などと、ちょっと期待してみたり。そうそう上手くはいかないだろうけども。期待するのはタダだしね。(笑)



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惺間暦574年8月15日


明日の天気は晴れだそうです。私の心も実に晴れやかです。何せ、明日はダンディーさんに堂々と密会をする日なのだ。なんて。(笑)


楽しみ過ぎて今晩眠れなかったらどうしよう。(笑)



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惺間暦574年8月18日


どうして、こうなったのだろ。私は只、出来る限り助けたかった。只それだけなのに。人を助ける度に自分の命を削るなんて、何処のB級小説だ。もう、笑うしかないな。これは。はは。


お陰で書類仕事も手につかない。ヤバいな、これ。報告書、書かなきゃなのに。



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惺間暦574年8月24日


ダンディーさんに連絡をもらった。検査の結果、私の体、かなり不味いみたい。


ダンディーさんが言うには、ダンディーさんは魔法というものを知らなかったみたい。


魔法で使っている私達がエーテルと呼んでいるエネルギーは、実際にはマインド・フィラメントと言うらしい。


このマインド・フィラメントは精神に働きかけて原子レベルで物事を発現させるらしい。


だけどそれは、本来、人が扱える物じゃ無いみたい。それを体に無理やり取り入れて物理をねじ曲げるシステム。それが魔法。


だからこそ、魔法自体が命を削るしかないシステムを組み込むしか方法がないのに気付いたみたい。


言われてみたら、確かに魔導師は寿命が一般人に比べて平均的に短い。でも、危険な任務とか多いから、そうなのだとずっと思っていた。


でも違ってた。私は特に魔法と縁の無かったから、魔導が発動した時の負荷がそのまま魔力の強さになっていたみたい。


確かに、私、空戦魔導師としてもトップクラスだったし、そりゃあ、命削る率も高いよね。


と言う訳で、私の寿命はダンディーさんの計算では後、1週間位らしい。


短かったな~。私の人生。


もっといっぱいやりたい事あったのになぁ~。


はは。私、馬鹿みたいだ。


まさかの自分記録が遺言書になるなんて。












うう。嫌だよー。


死にたくないよー。


早すぎるよー。


なんで私なのー。


誰か助けてよー。



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惺間暦574年9月1日


[ノクターン・ローズブレイド]と言う名の少女は自立型魔導デバイスである[ミルテゥーヤ]と共に姿を消した。


同僚のメリッサの談では、前日まで至って普通に仕事をこなしており、帰りに少し豪華な晩御飯を二人で食して帰路に着いたと言う。


後日、ノクターン・ローズブレイドの私室から、この日記が発見され、捜索がなされた。ダンディーこと[アルゴ・Q・ティアリー]も発見されず、その者の診療所も当たってみたが、その様な建物は存在して居なかった。同僚のメリッサもその事に動揺を隠し切れない様子であった。

























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