5 宇宙は瞳を閉じている。

 宇宙は瞳を閉じている。


 とんとん、とドアをノックしてから、「失礼します」と言って美空は放課後の時間に新聞部の部室のドアを開けた。

 でも新聞部の部室の中には誰も人がいなかった。

 美空は少しだけ空いているカーテンの隙間から光の溢れている新聞部の部室の中に足を踏み入れていく。

 新聞部のテーブルの上には『宇宙は瞳を閉じている』と言う題名の短い小説の本があった。

 その隣には校内新聞の原稿がある。

 美空がそっと覗いてみると、そこには『消えてしまった月』という題名が一番上の見出しに大きく書いてあった。

 土星の輪の次は月がなくなってしまうのか。……なるほどな。

 と思いながら、美空はそんな来月分の新聞の原稿をなんとなく読み始めた。

 すると、少しして「誰? 誰かいるの?」という声がした。

 美空は驚いて、新聞から目を離して、声のした部室のドアのほうを振り返った。

 するとそこには一人の(背の高い)男子高校生が立っていた。

 美空の知らない、東山高校の制服を着た男の子だ。

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夜空の向こう 雨世界 @amesekai

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