新しいお父さん(?)

森水鷲葉

新しいお父さん(?)

【ヒロシ】

母さん! 今どこ!?


リビングにライオンがいる!


どうしよう、警察呼ぶ!?

いや、猟友会か!?


【母】

なに言ってるの

あなたの新しいお父さんよ


【ヒロシ】


【母】

お父さんに、先に家に行ってもらったの

今度、紹介するって言ってたでしょ


【ヒロシ】

ちょ、待って

そっちこそ何言ってんの!?


ライオンだって、ライオン!


うわあ、こっち見てる!


【母】

ふふ、ちょっと

恥ずかしがり屋さんなの

つぶらな瞳でかわいいでしょ?


【ヒロシ】

いや、そういうんじゃなく、

鋭い目つきなんだけど!?


【母】

あらあら

緊張してるのかしら


【ヒロシ】

緊張っていうか、警戒されてる!?

もしくは、獲物だと思われてる!?


【母】

お父さん、ヒロシと会うの楽しみにしてたもの

きっと照れてるのね

これから仲良くしてあげてね


【ヒロシ】

いや、無理だって、ライオンだし!!


【母】

だめよ、ヒロシ


もしかして反抗期なの?

お母さん、悲しいわ


お父さん、これから家族になるんだから


【ヒロシ】

だから、さっきから何の話!?

こんな毛深いお父さんいねーよ!


【母】

ヒロシ、だめでしょ

人を外見で判断するんじゃありません!


【ヒロシ】

どう見ても人じゃないから!

ライオンだから!


ちょ、俺見て低くうなってるんだけど!


【母】

お父さん、日本に来たばかりだから

まだ日本語が通じにくいかもしれないわね


【ヒロシ】

最初っから通じないよ!


【母】

真心で接すれば大丈夫よ

お父さんも、同じ、ほ乳類なんだから


【ヒロシ】

今、しれっと人類じゃないって認めたよね!?

やっぱライオンなんだよね!?


【母】

そのうちお父さんの言葉もわかるようになるわ


【ヒロシ】

いやいや、

ガルルルって言われてもわかんないから!


うわああああ!

こっち来たああ!


【母】

あらあら

ヒロシも恥ずかしがり屋さんね


【ヒロシ】

そういうのじゃないから!


うわあああああああ!!

今、噛まれてる!

足がちぎれそうなんだけど!!


【母】

うふふ

お父さんのスキンシップよ


【ヒロシ】

いや、かじられてる!

今、まさに食べられてるから!


【母】

さっそく気にいられたみたいで

よかったわね


【ヒロシ】

くーわーれーるー!


【終わり】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新しいお父さん(?) 森水鷲葉 @morimizushuba

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ