オレオレ。ロミオだよ
森水鷲葉
オレオレ。ロミオだよ
【ロミオ】
オレオレ、オレだけど
【ジュリエット】
どちらさまですか?
【ロミオ】
オレだよ、オレだって
【ジュリエット】
もしかして……ロミオ様?
【ロミオ】
そうそう、オレオレ。ロミオだよ
【ジュリエット】
ああ、ロミオ様!
この間、連絡先を交換したのを覚えていてくださったのね
感激ですわ!
【ロミオ】
うん、オレもオレも
【ジュリエット】
ああ、ロミオ
あなたはなぜ、ロミオなの?
【ロミオ】
親のつけた名前だから?
【ジュリエット】
そんな……
親の決めたことに
いったいどんな意味があるというの
【ロミオ】
まあ、オレ、ロミオだし?
金持ちの息子だし?
それよりさ
今、出てこれない?
【ジュリエット】
え?
ええ、バルコニーになら
【ロミオ】
もうちょい外に来れない?
庭先とか
【ジュリエット】
ええ、でも……
ロミオ、どうしたの?
なんだか変よ
【ロミオ】
いやいや、オレ、ロミオだし
【ジュリエット】
それはわかってるわ
なんだか、あなたらしくないみたい
【ロミオ】
そんなことないって
今、実は庭にいるんだ
【ジュリエット】
えっ!?
【ロミオ】
君の顔が見たいと思ってさ
ねえ、頼むよ
【ジュリエット】
ロミオ……
私もあなたの顔を見たいわ
直接、話しましょう
お願い、姿を見せて
【ロミオ】
いや、それはちょっと
【ジュリエット】
どうしてなの?
【ロミオ】
とにかくダメなんだ
【ジュリエット】
ああ、ロミオ……
どうして、どうしてなの!?
【ロミオ】
あ、やべっ
興奮しないで!
人に見られるとマジヤバいから!
【ジュリエット】
ロミオ……
あなた、本当にロミオなの?
【ロミオ】
当然だろ?
オレ、ロミオだって!
【ジュリエット】
じゃあ、どうして……
どうして姿を見せてくれないの?
【ロミオ】
それは、その……そうだ
君が美しすぎて、
直接、姿を見たら気を失ってしまいそうだからさっ!
【ジュリエット】
ああ、ロミオ……!
そこまで、私のことを……
……?
ロミオ?
ねえ、ロミオ?
どうして答えてくれないの?
【ナレーション】
数日後……
【ジュリエット】
ジュリエットです
町を出る前に、最後のメッセージを書いています
この間、ロミオを騙るニセモノが、我が家の庭で捕まりました
変装した偽ロミオを、お父様たちは本物だと信じているようです
ちょうど、ロミオの家でも、ロミオが失踪して騒ぎになったからです
おかげで、私は、本物のロミオと旅に出れます
どうか、私たちのことは心配しないで、そうっとしておいてくださいね
私達、とても幸せです
【終わり】
オレオレ。ロミオだよ 森水鷲葉 @morimizushuba
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