旅二十八日目 豊玉姫様との出会い
さあ、皆さん起きてください。この潜水艦も特にスタンド攻撃を受ける事もなく、無事ワタツミ様の宮殿に到着しました。
早速降りてみましょう!
えっ!? 海の中なのに、降りても大丈夫なのかですって?
ここは神話の世界。海の中でも呼吸出来るから、問題ないです!
ほら、地上に住んでいる山幸彦様もいるでしょう。
「ここの池で待っていてください。その内、宮殿の者が水を汲みに来ると思うから、その方に事情を話してください」
「は、はあ (大丈夫かな……)」
シオツチ様が急にアバウトな感じなるので、山幸彦様は少し不安な表情をしています。
「それでは、私の役目はここまでなので、失礼します」
「ええ!? 帰っちゃうの」
「はい、きっと貴方様なら、だいじょうV!」
古いギャグを言って、シオツチ様は本当に帰っちゃいましたね。
さて、残された山幸彦様は、独り寂しく池の畔で立っています。
おや、シオツチ様の言った通り、誰かやって来ましたね。どうやら侍女が泉の水を汲みに来たようです。
「貴方様は?」
池の畔に立っている山幸彦様に、侍女は声をかけましたが、彼女にとって相手は見知らぬ男性です。
表情は強張り、警戒しているようです。
「あ、えっと私は山幸彦と言います。訳あってこちらの宮殿へやってきました」
「は、はあ」
(ヤベェ、メッチャ怪しんでいるよ……何かしないと)
山幸彦様は少し焦っているようです。
「あ、あの、よかったら水を一杯いただけませんか?」
山幸彦様は侍女に、そう言いました。一体何をするのでしょうか?
侍女は言われた通り、器に水を汲んで山幸彦様に渡しました。
しかし山幸彦様は水に口を着けず事なく、首飾りにかけていた玉の紐を解きました。
(何しているのかしら?)
不思議そうな目をしている侍女を尻目に山幸彦様は、その玉を口に入れて、水の入った器に吐き出しました。
(え!? 何してるの!? 汚い!)
まあ、こんな事をすると、女性に嫌がられるのは必至ですよね。
侍女が玉を取り出そうとしましたが、それは器の底にくっついていて離れません。
「あれ、何で!?」
侍女が山幸彦様の方を見ました。
「 o(`・ω´・+o) ドヤァ…!」
山幸彦様は、めっちゃドヤ顔をしています。
山幸彦様の謎のイリュージョンに驚いた、侍女は急いで宮殿に戻って行き、宮殿のお姫様を連れて戻って来ましたね。
海底の宮殿のお姫様なので、やはり気品溢れる美しい顔達をしていますね。
彼女の名前は
豊玉姫様と山幸彦様が顔をあわせました。
おや、見つめ合う二神の頬が赤くなっていきましたね。これは新たな恋の予感がします。
(まあ、イケメンじゃない!)
やはり豊玉姫様は、山幸彦様に一目惚れをしたようです。
(この子、すごく可愛い! 今すぐに合体したい!)
山幸彦様も、すぐに恋に落ちたようです。
男女が出会い頭に恋をして、すぐに合体するのは日本神話お決まりのパターンですね。
ラノベや漫画でありがちな、朝の登校中、食パンを口にくわえた女の子とぶつかり、それがきっかけで恋をする、ラブコメのようなものでしょうか。
エロい雰囲気が漂ってきましたね。
私の能力『モザイクロール』を使う時が来たようです……おや、すぐに合体すると思ったら、なかなかしません。
どうやら山幸彦様は欲情に走るのではなく、先に宮殿の主であるワタツミノ様の所へ挨拶しに行く事にしたようです。
玄関先でスセリビ様と合体したオオクニヌシ様と違って、山幸彦様はちゃんとしています。
さあ、私達も山幸彦様と一緒に、宮殿へと入りましょう。
豊玉姫様は父であるワタツミ様の所へ、山幸彦様を連れていきました。
「むむ、貴方様は立派なお方に違いない。もしかして高天原に住む神々の御子では?」
ワタツミ様は山幸彦様を一目見ただけで、彼がアマテラス様の子孫だと見抜いたのです。
「はい、私はアマテラス様の子孫である、
「やはり、高貴な方でしたか。皆の者、歓迎パーティーをするぞ!」
おや、いきなりドンチャン騒ぎが始まりました。タイやヒラメが舞躍り、山幸彦様は豊玉姫様にお酌をしてもらって、気分が良さそうです。
そうして、ドンチャン騒ぎは夜まで続き、皆が寝静まった頃、山幸彦様は豊玉姫様と一緒に寝室へ入っていきました。
今頃、合体しているに違いありません。
山幸彦様は、すごく楽しそうにしていますが、本来の目的を忘れていませんか?
果たして、海幸彦様との関係はどうなるのでしょうか?
それでは、また次の旅路でお会いしましょう ノシ
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