旅十八日目 オオクニヌシ様とスクナビコナ様の足跡
前回の旅では時空の流れに乱れが生じ、オオクニヌシ様とスクナビコナ様が何をしたのかわからず終いでした。
今回は古事記ではなく各地方の神話から、オオクニヌシ様とスクナビコナ様の活躍をオムニバス形式でみていきましょう!
☆
その1、我慢比べ 播磨国風土記(兵庫県西部の歴史書)より
各地を回っていたオオクニヌシ様とスクナビコナ様でしたが、ただ土地を開拓しながら旅をするのに少し飽きてきました。
「オオクニヌシ、ここらで一つ我慢比べでもしないか!?」
「その案、のった! しかし……」
この辺りには我慢比べに最適な冷たい滝や、上島竜平がリアクション芸をしているような熱湯風呂もありません。
「オオクニヌシ、あのハニ(粘土)を持って歩き続けるというのはどうだい?」
スクナビコナ様が指差す方向には粘土の山があります。
「しかし、スクナビコナの方が小さいから、体格的に不利なのでは?」
「ふむ……じゃあ、こうしよう!」
勝負の内容はスクナビコナ様が粘土を背負って歩きます。
その間オオクニヌシ様の方は、う○こを我慢してどこまで行けるかという形式になりました。
「よいしょっと!」
スクナビコナ様は粘土を背負い、歩き出します。
「しっかりケツの穴をしめとかないとな!」
オオクニヌシ様はおしりに力を入れて足を進めます。
そして時は流れ……何日もう○こを我慢しているのでオオクニヌシ様の顔は青くなってきました。
一方、スクナビコナ様もずっと粘土を背負っているので、息が途切れ途切れになってきました。
「も、もうダメだ。我慢できない!」
はたして先に限界に達したのは、どちらでしょうか……。
なんとオオクニヌシ様が道端でう○こをしています。
オオクニヌシ様の肛門が先に臨界点を超えたようです。
「ボ、ボクも、もうダメだ!」
スクナビコナ様も限界だったのか粘土を投げ出しました。
スクナビコナ様の方がオオクニヌシ様より少し長く我慢していたので、スクナビコナの勝ちとなりました。
こうして、スクナビコナ様がハニ(粘土)を投げ出したので、二神の我慢比べ勝負がついた場所には、
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2、オオクニヌシと温泉 伊予国風土記(愛媛県の歴史書)より
オオクニヌシ様とスクナビコナ様が、四国は
「スクナビコナ、最近顔色が良くない。大丈夫か?」
「平気、平気……」
しかしスクナビコ様が無理をしているのは明らかです。
そしてスクナビコナ様は倒れてしまいます。
スクナビコナ様は長旅の疲れによって、病気になってしまったのです。
「スクナビコナどうした!?」
スクナビコナ様はオオクニヌシ様の言葉に、返事ができない程弱っていていました。
「こうしちゃいれない!」
オオクニヌシ様は急いで走り出します。
そして、鶴見山麓から湧く温泉(後の別府温泉)のお湯を手の平ですくい、スクナビコナ様が待つ伊予国まで運びました。
そしてそのお湯に入れると、スクナビコナ様の病は癒えたのです。
このオオクニヌシ様とスクナビコナ様の伝説が、あの有名な愛媛県の道後温泉の起源とされています。
このように神話の時代から存在しているので、日本最古の温泉ではないかとも言われています。
また、オオクニヌシ様とスクナビコナ様が人が生活しやすいように環境を整えていた時、日本国民が早死にする事を嘆きました。
そこでオオクニヌシ様とスクナビコナ様は、国民が長く生きられるように各地に温泉を掘ったとも言われています。
このような背景から、スクナビコナ様は温泉の神様ともいわれています。
☆
3、石の宮殿
オオクニヌシ様とスクナビコナ様が国土を安定させるため、播磨の国(兵庫県)のとある山に石の宮殿を造ろうしました。
宮殿完成までに決めた期間は、たったの一晩でした。二神は神のチート能力を使って、急いで工事を進めましたが、事は上手く進みませんでした。
「俺たちの土地に宮殿なんて建てるんじゃない!」
「国を支配する神だからって、横暴すぎるぞ!」
「宮殿建設反対!」
オオクニヌシ様とスクナビコナ様は、雛見沢村住民のダム建設反対運動のように、播磨に住む神々に反乱を受けてしまいます。
二神は反乱を鎮めるために工事を投げ出して山を下り、仲間の神々を集めて反乱を鎮圧しました。
しかし、工事期間に定めた時間は過ぎてしまい、騒ぎが収まる頃には夜が明けてしまったのです。
結局、石の宮殿は未完成に終わってしまいました。
「スクナビコナ。たとえ石の宮殿が未完成だとしても、私達の思いはこの石に宿り、未来永劫この国を治めよう!」
「勿論さ! オオクニヌシ」
オオクニヌシ様とスクナビコナ様は、このように誓いました。
二神が宣言したこの山は宝殿山と呼ばれ、さらに未完成の石の宮殿を祭る生石神社ができました。
現在でもオオクニヌシ様とスクナビコナ様が造ったと云われる、高さ約5メートル、推定重量500トンの巨石は残っています。
巨石の底は岩盤と繋がっていますが、下の部分に水が溜まっており、まるで水の上に浮いているように見えるので、「
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オオクニヌシ様とスクナビコナ様はとても仲が良い神様だった事がよくわかりました。
スクナビコナ様がいなくなった時、オオクニヌシ様がとても落ち込んでいましたが、その理由がよくわかってくれたと思います。
それでは、また新たな旅へと向かいましょう。
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