旅二十一日目 オオクニヌシ様のお色気大作戦

 ここは久しぶりの高天原です。

 

 ここからは地上がよく見えますね。それに以前とくらべて、緑だけでなく田畑が整備され多くの人々が生活する豊かな国になりました。

 これも、オオクニヌシ様が国を開拓してくれたおかげです。


「やった。さすがオオクニヌシですね!」

 その様子を見たアマテラス様も喜んでますね。


「でも……あそこは私のお父様とお母様がつくった場所。国津神より、高天原の神々が治めた方がいいのでは……」

 

 おや、アマテラス様は早速、長男のある天忍穂耳神様アメノミホホノカミサマを呼び出しました。

「アメノミホホ。貴方がオオクニヌシの代わりに、葦原の中つ国(後の日本)を統治しなさい」

「わかりました。お母様」


 アマテラス様とスサノオ様が誓約うけいを行った時、アマテラス様の持ち物から生まれた神様の一神が、アメノミホホ様です。

 

 では、アメノミホホ様と一緒に地上に行きましょう。



 アメノミホホ様と天の浮橋うきはしという、天界と地上を繋ぐ道まで来ましたが、なんだか地上がなんだか騒がしいですね。


「なんで、いきなり天津神が地上を統治するんだ」

「そんなの横暴だ!」

「この国はオオクニヌシ様のものだ!」

 

 地上の神々にとって、オオクニヌシ様が頑張って発展させた国を、簡単に明け渡す事はできませんよね。


 アメノミホホ様はというと………。

「 ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルガクガクブルブルガクガクブルブル」


 ビビってますね。

 

 そしてアメノミホホ様は、すぐにアマテラス様の元へと帰っていきました。


「お母さん、地上はヤベェ所ですよ」

「そうですか、じゃあ、代わりの者を遣いに出しましょう」

 アマテラス様は、長男のアメノミホホ様に甘いです。


 アマテラス様は知恵の神様であるオモイカネ様に相談しました。


「それでは、天菩比神様アメノホヒノカミサマがいいでしょう」

 アメノホヒ様はアマテラス様の次男です。

 

 アメノホヒ様は兄とは違い、怖じ気づく事なく地上へと降りていきました。



 さて、アメノホヒ様と一緒にオオクニヌシの宮殿へやって来ました。

「場合によってはオオクニヌシと戦わなくてはいけない」

 アメノホヒ様は一戦交える覚悟で、オオクニヌシ様の宮殿へと入っていきます。一体、このあとどうなるのでしょうか……私も緊張しますね。


「これは、これは、天照大神様の御子のアメノホヒ様。わざわざ、遠い所からおこし頂きありがとうございます」

 三つ指をついて出迎えてくれました。

 旅館とまちがえたのでしょうか……いや、でも、目の前にいるのは確かにオオクニヌシ様です。

 

 なんと、オオクニヌシ様は国を受け渡しを要求しにきたアメノホヒ様を、追い返すのではなく、逆に歓迎したのです。


「え、なんで?」

 アメノホヒ様はもてなされて、面を喰らってしまいます。


「国の受け渡しを……」

「まあ、まあ、その話しは後にして、長旅お疲れでしょう。宴会の準備も整っています。お風呂もわいています。なんなら、私の娘にお背中をながさせます。可愛い子ばかりですよ。さあ皆、お客様を出迎えてあげて」

 すると奥からオオクニヌシ様の娘がたくさん出てきました。しかもAKBや乃木坂にも負けないくらい、美少女が揃っています。


「好きな子、選んでもいいんですよ」

 オオクニヌシ様はそっとアメノホヒ様に耳打ちしました。

「え、いいのぉ。じゃあ、お言葉に甘えて……」

 あらら、アメノホヒ様の鼻の下が、ダルシムの腕よりも長く伸びていきます。


 アメノホヒ様はオオクニヌシ様によって、言葉巧みに懐柔かいじゅうされてしまいました。

 そしてアマテラス様の命令を忘れ、安楽な生活に浸てしまいました。


 流石、たくさんの女神を口説いたオオクニヌシ様です。

 女心だけでなく男心を奪うのも上手です。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る