旅二十二日目 アマワカヒコ様と下輝姫様



 さて再び高天原に戻ってきました。アマテラス様はお顔を真っ赤にして泣いています。

 地上の統治作戦が失敗しただけでなく、息子の嘆かわしい有様を見てしまったからです。


「オモイカネ! 色欲に惑わされない神はいないのですか!」

「それならば、天津国玉神アマツクニタマノカミの息子である、天若日子アメワカヒコがいいでしょう」

  


「いいですかアメワカヒコ! 貴方は色欲になんて惑わされないと信じています。この弓矢を授けます。これは、天の力を込めた最高の攻撃力を持った弓矢です。オオクニヌシを武力で脅してでも国を奪うのです!」

 前回行った“おもてなし”によって地上を奪われる危機は免れたオオクニヌシ様でしたが、逆にアマテラス様の怒りに火をつけてしまったようです。

「アマテラス様。必ずや、地上を奪ってみせましょう」



 さて、アメワカヒコ様とオオクニヌシ様の所にやってきました。前回とは違い、アメワカヒコ様は強い決意に満ち、最強の弓矢まで持っています。

 オオクニヌシ様の運命はどうなるのでしょうか……


「これは、これは、遠い所からわざわざ、おこしいだだきありがとうございます」

「そんな事はいい! アマテラス様へと地上の受け渡しを要求しにきた!」

 オオクニヌシ様は前回と同じように、三つ指をついて出迎えました。

「まあ、まあ、その話しは後にして、長旅お疲れではないですか? 宴会の準備は整っています。お風呂も沸いています。なんなら、私の娘にお背中をながさせます」

「そんな事はどうでもいいのだ!」

 先にやって来たアメノミホホ様の有様を知っているので、アメワカヒコ様はオオクニヌシ様の話しに、飲み込まれないようにしています。


「そうですか……私の娘は可愛い娘ばかりなのに」

 早速、最強を弓矢を使おうとしていますね。おや、奥からすごい光輝く女神があらわれました。


「お父様、お客様ですか?」

「おお下照姫。お前もお客様を歓迎して」

 

 下照姫様は”下半身が照り輝くほど美しい娘”という意味があります。実際、下半身が光っているので、たとえ丸出しになっても、その輝きで局部を隠す事が出来ますね。


「な、な、な」

 おや、アメワカヒコノ様の様子が……どうやら一目で下照姫様の美しさの虜になってしまったようです。


「なんて美しい娘なんだ! すぐにおせ○

くすしたい!」

 最強の弓矢をオオクニヌシ様に使うではなく、彼の下半身に付いているキャノン砲が、下照姫様と一戦交えたくなってしまったのです。


 結局、勇ましく出発したアメワカヒコも下照姫様の虜になり、彼女と結婚して地上で安楽な生活を送ってしまいます。


 そしてその後、アマテラス様に八年も連絡をしなかったのです。


 オオクニヌシ様は、国の受け渡しを要求しにきた高天原の神々と戦うのではなく、色気で欲情を掻き立てて、本来の目的を忘れさせるという「お色気大作戦」で事をウヤムヤにしていったのでした。


 流石、子供が180神もいるハーレム神ですね。


 さて、ずっとオオクニヌシ様の宮殿で暮らしていたアメワカヒコ様でしたが、安楽な生活に浸っている間に、ある謀反むほんの思いが沸き上がってきました。


“こんなに良い生活をしているなら。オオクニヌシの国を奪って、俺が王になろう。幸い俺は最強の弓を持っている”


 

 高天原ではアマテラス様は地上の統治作戦が進まず怒っており、宮殿の中には謀反を企む者までいます。

 さて、オオクニヌシ様の運命はどうなってしまうのでしょうか?

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る