旅二十三日目 悪化していく地上と高天原の関係
オオクニヌシ様は、国の受け渡しを要求しにきた高天原の神々と戦うのではなく、色気で欲情を掻き立てて、本来の目的を忘れさせるという「お色気大作戦」で事をウヤムヤにしていったのでした。
ハーレム神ならではの「お色気大作戦」はうまくいくのでしょうか。
高天原ではアマテラス様が、そして自分の宮殿にはアメワカヒコ様が、それぞれオオクニヌシ様の地位を狙っています。
さて、オオクニヌシ様は一体どうなるのでしょうか。
おや、宮殿の庭でなにやら鳥が騒がしく鳴いていますね。見に行きましょう。
庭の木にキジが止まっていますね。迷い込んだのでしょうか?
「おい、アメワカヒコ! 出てこい!」
キジのように見えますが喋っているので、ただの鳥じゃない事はわかりますね。
おそらく、アメワカヒコ様が連絡を寄越さないので、アマテラス様が使いとして、地上に送ったのでしょう。
「おい、アメワカヒコ! いるんだろ!」
そうナキメ様はアメワカヒコ様を呼び出そうとしています。
「きゃあ! なんて不吉な鳥なの! アメワカヒコ様、来てください!」
おや、アメワカヒコ様じゃなくて、先に召し使いの女神に見つかってしまいました。
「どうかしたのか!?」
「アメワカヒコ様。喋る不吉な鳥がいます! 殺してください!」
「わかった!」
アメワカヒコ様はアマテラスアマから授かった、最強の弓を持ち出してきました。
「待て、アメワカヒコ。私は……」
ああ、なんという事でしょうか! アメワカヒコ様は相手がナキメ様だと気付かずに、矢を放ってしまいます。
『ナキメに99999のダメージ!』
最強の弓で射ったので、ナキメ様をオーバーキルしてしまいました。
アマテラス様が授けた矢の威力は凄まじく、ナキメ様をオーバーキルしてもなお、どんどん空高く上って行きました。
もしかして、高天原の方に届いているんじゃないでしょうか? 向こうの様子を見に行きましょう!
高天原と地上の情勢がよくないからか、最近行ったり来たりする事が多くなりましたね。
さて、アメワカヒコ様が放った矢は、どこにあるのでしょうか。
おや、矢をもっているのは、
覚えていますか? この神様は
「この矢は、アマテラスがアメワカヒコに渡したもの……しかも、血が付いている……まさか、アメワカヒコの反乱では?」
タカミムスヒ様は『見た目は子供。頭脳は大人』で有名な、名探偵並みの推理力を発揮しました。
「もし、この矢が邪神を射ったものなら、アメワカヒコに当たるな。しかし、アメワカヒコが邪心を抱いているのなら、アメワヒコに命中する」
そう言ってからタカミムスヒ様は、地上に向かって矢を放ちました。
これは一種の呪いのようなものですね。
さてアメワカヒコ様は、アマテラス様に連絡を怠ったどころか命令に背き、オオクニヌシ様に代わって自分が国を奪おうとしているうえにナキメ様を殺してしまいました。
邪心だらけでなので矢が命中するフラグが立ちまくっています……アメワカヒコ様は大丈夫でしょうか?
おや、何か泣き声が聞こえてきます。高天原から地上を見てみましょう。
なんていう事でしょうか! 布団の上で寝ているアメワカヒコ様の心臓に、矢が突き刺さっているではありませんか!
見事フラグを回収してしまったようですね……。
その隣では下照姫様が泣いています。
アメワカヒコ様が謀反を企てていたとはいえ、二神は愛し合っていたのですね。
下照姫様の悲しみは深く、泣き声が高天原まで届いてきたようです。
「オモイカネ。地上への派遣は何度も失敗しています。次は誰を送ればいいのでしょうか?」
アマテラス様も事が上手くいかず、思い悩んでいるようですね。
「うむむ……」
知恵の神様であるオモイカネ様も眉間に皺をよせ、深く考えています。
「色欲に惑わされない武神がいいと思います。
イツノオハバリ様は剣から生まれた神様です。
この旅が始まったの頃、イザナミ様が亡くなった原因でもあるカグヅチ様を、イザナギ様が剣で斬った事を覚えていますか?
またイザナギ様の剣は、カグヅチ様の魂が宿り攻撃力が増していました。
そして、その剣から生まれたのがイツノオハバリ様なのです。
剣から生まれたイツノオハバリ様は高天原で最も強い兵士といえます。しかし、彼の性格はひねくれたところがあり、息子のタケミカヅチ様が抜擢されたようねすね。
さて、武神を送るという事は本格的に地上を武力で攻める事を決めたようです。
オオクニヌシ様の運命はどうなるのでしょうか?
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